【車両紹介】プラハ市電の電車たちPart4- タトラT3 / Rolling stock of Prague tram Part4 – Tatra T3

Výstaviště付近を走るタトラT3 / A Tatra T3 near Výstaviště.

Výstaviště付近を走るタトラT3 / A Tatra T3 near Výstaviště.


プラハの市電で圧倒的な最大勢力であるのが、このタトラT3です。
後継車が登場している状況でもなお、673両も在籍(2011年末現在)しており、またプラハ以外の旧共産圏の街にも多数が在籍しています。プラハ向け以外も含めた総生産両数は実に130000両以上に達し、文句なく世界で最も大量に生産された路面電車車両と言うことができます。
1960年から製造され、1990年代までの長きにわたり造られていましたが、プラハ向けには1960年から1989年まで製造されました。
所謂「丸タトラ」と呼ばれる丸みの強い車体が特徴で、少し愛嬌のある好ましいスタイリングに感じられます。おでこには系統番号表示はありますが行先表示機はなく、行先はフロントガラス内にプレートを掲出して示していました。また系統番号表示は、プレートを車外に取り付けてあるものと、表示窓のあるものの2種類が見られました。 続きを読む

【車両紹介】プラハ市電の電車たちPart3- タトラKT8D5 / Rolling stock of Prague tram Part3 – Tatra KT8D5

更新前のタトラKT8D5。Tusarovaにて / A Tatra KT8D5 at Tusarova.

更新前のタトラKT8D5。Tusarovaにて / A Tatra KT8D5 at Tusarova.


タトラKT8D5は、1986年から1990年まで納入された3車体4台車の連接車です。
プラハ以外では、オストラヴァ、ブルノ、コシツェなど主に旧チェコスロバキア国内で姿を見られますが、特異なところでは北朝鮮・平壌向けにもまとまった数が輸出されており、現在でも多数が働いているようです。プラハ市電では46編成が在籍しており、その他に更新工事(後述)を受けなかった車両が市電博物館の保存車として1編成存在します。
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【車両紹介】プラハ市電の電車たちPart2- タトラT6A5 / Rolling stock of Prague tram Part2 – Tatra T6A5

5系統で走るタトラT6A5。Tusarovaにて / Tatra T6A5 at Tusarova

5系統で走るタトラT6A5。Tusarovaにて / Tatra T6A5 at Tusarova


タトラT6A5は、1991年から1998年まで製造された車両です。うちプラハ向けには1995年から1997年まで導入されました。すでに東欧革命を経て共産主義政権が倒れた後の導入ですが、共産主義諸国の標準車として有名なタトラカーの系譜をそのまま引き継ぐスタイルとなっています。

T6A5はプラハのほか、チェコのブルノ、オストラヴァ、スロバキアのブラティスラヴァ、コシツェに導入されており、総勢約300両が製造されています。
いわゆる角タトラの世代では他に旧ソ連向けのタトラT6B5(約1100両)、東ドイツ向けのT6A2(約350両)などがありますが、先代のタトラT3(いわゆる丸タトラ)グループの約14000両という製造両数に比べると比較的少数派です。

プラハには148両が在籍(2011年末時点)しており日本的感覚では相当な数ということになりますが、なにしろプラハ市電全体では972両も在籍していますので、私がプラハを訪問した際も相対的に存在感は小さめでした。

車体はタトラT3と同じく一般的な4軸ボギー車で、全長も約15mと日本人にもなじみのあるサイズです。
3扉車という点もタトラT3と同じですが、タトラT3が4枚折戸を装備するのに対しこちらはスイング扉となっています。他都市のタトラT6A5は4枚折り戸になっているものもありますが、プラハでは見かけたT6A5の全てがスイング扉でした。これが納入時からそうなっているのか、後天的な改造によるものなのかは不明です。
制御方式はサイリスタ制御で、モーターは45kW×4機を装備しています。以前の記事でもご紹介したとおり、日本のサイリスタ制御車にはない、極めて珍妙な走行音を発します。車内は1+2配置の前向きシートが並んでおり、私が乗車した範囲ではすべての車両で自動放送も流れていました。

【車両紹介】プラハ市電の電車たちPart1- シュコダ14T / Rolling stock of Prague tram Part1 – ŠKODA 14T

以前の記事で、都市交通博物館に展示されているプラハ市電の旧型電車を取り上げましたが、そのときの来訪(2009年)で現役車両も撮影していますので、折角ですのでそちらも取り上げていこうと思います。
プラハ市電の車種は大きく分けて4車種あり、シュコダ14T、タトラT6A5、タトラKT8D5、タトラT3(以上は新しい順)が現役車両として運行されていました。ほかに、最新型車両としてシュコダ15Tがあり、これは訪問当時プロトタイプ車が試験中でしたが(なお現在は通常運行に供されています)、残念ながら目にすることができませんでしたので、割愛します。

今回より上記4種の車両を新しい順に取り上げていこうと思いますので、まずはシュコダ14Tからご紹介します。

Výstaviště(ヴィスタヴィシチェ)付近を走る14T / 14T tramcar runs near Výstaviště.

Výstaviště(ヴィスタヴィシチェ)付近を走る14T / 14T tramcar runs near Výstaviště.


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【車両紹介】ポーランド国鉄 EN57型のバラエティ/ Variety of PKP EN57

【車両紹介】ポーランド国鉄 EN57型のバラエティ/ Variety of PKP EN57
EN57は、1961年から約30年にわたり実に1412編成が製造された、ポーランド国鉄を代表する電車です。大都市の近郊電車から中長距離のインターレギオ(日本で言う快速に相当しますが、イメージ的には急行東海や大垣夜行クラスの距離を走る列車をイメージしていただいたほうが適切でしょう。客車による運行も多いです)まで幅広く使われています。その姿は東京・大阪近郊の普通から所謂「遜色急行」まで使われた国鉄近郊型電車を彷彿とさせます。
全編成ともTc-M-Tcの三両固定編成で、吊り掛け駆動となっており、重厚な走行音を奏でます(走行音は「トラムのひびき」サイト内でお聞きいただけます)。

EN57はもともと両数が多い上、1989年の東欧革命以後は生活・技術水準や競合交通機関などの状況が激変し、鉄道の経営形態にも大きな変化があったため、その変化に応じて多種多様なバリエーションが生まれています。塗装変更や内装のリニューアルを行った車両から、冷房化・インバーター制御化といった抜本的な更新を行った車両まで登場しており、趣味的に非常に興味深い状態になっています。
2011年1月・2011年7月にポーランドを訪問した際、多様なEN57の写真を多く撮影しました。もちろん、全てのバリエーションを網羅するには至っていませんが、その片鱗をお楽しみいただければ幸いです。

PKP EN57 is most majour EMU in Poland. EN57 was built 1412 units from 1961 to 1993. Today, EN57 has many varieties of liveries, electric equipments and interieurs by modernization or color changing. It’s very interesting for railway enthusiasts.
I visited Poland in Janualy 2011 and July 2011. I could take many pictures of EN57. You can see the variety of EN57 by following pictures.

もっとも典型的なEN57。この塗装がPKPの標準色です。ほとんどのEN57は、このように行先表示がLEDに換装されています。[Kraków Główny:クラクフ中央駅] / EN57 with standard PKP livery. Destination sign was changed to LED sign. [Kraków Główny]

もっとも典型的なEN57。この塗装がPKPの標準色です。ほとんどのEN57は、このように行先表示がLEDに換装されています。[Kraków Główny:クラクフ中央駅] / EN57 with standard PKP livery. Destination sign was changed to LED sign. [Kraków Główny]

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【車両紹介】ワルシャワ市電の車両たち2011:PESA 120N/ Rolling stock of Warsaw tram in 2011 : PESA 120N

Stare Miasto電停を発車する120Na / A 120Na leaves Stare Miasto stop.

Stare Miasto電停を発車する120Na / A 120Na leaves Stare Miasto stop.

ワルシャワ市電初の100%低床車です。
2007年に導入されたグループを120N、続いて2009年から導入されているグループを120Naと称します。120Naの中には、両運転台となっている車両があり、それは120NaDUOと呼ばれています。
いずれも全長約30mの5連接車で、メーカーはコンスタルからPESA(ペサ)になりました。

120N。120Naとは前面スタイル等が異なる。Most Poniatowskiegoにて。 / A 120N at Most Poniatowskiego.

120N。120Naとは前面スタイル等が異なる。Most Poniatowskiegoにて。 / A 120N at Most Poniatowskiego.

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【車両紹介】ワルシャワ市電の車両たち2011:FPS 123N/ Rolling stock of Warsaw tram in 2011 : FPS 123N

161914_ZTM(Most poniatowskiego)トリミングFPS 123N。Most Poniastowskiego電停付近にて。
A FPS 123N at Most Poniatowskiego.

 2006-2007年に導入された車両です。車体の全体的な形状やドア配置にはコンスタル105Naの面影があるように思えるのですが、あまりはっきりした情報がないものの、どうもコンスタル105Naの更新車ではなく、新造のようです。すでに部分低床車(コンスタル116N)も登場していた時期に、なぜ高床車を投入したのか、意図は謎ですが。
 製造を行ったのはH. Cegielski – Poznań社で、ワルシャワ市電へはこの形式のみ納入したメーカーです。以前は国鉄(PKP)向けの機関車なども納入していましたが、現在は産業用のエンジンなどの生産が中心のようです。
 外観はコンスタル105Nを近代化したようなイメージで、車内もオフホワイト基調の壁・天井に埋め込み型の明るい照明、布張りのシートなど大幅に進化しています。自動放送・車内案内表示装置もあるなど、床の高さ以外は現代的な水準となっています。
 制御方式はサイリスタチョッパ制御で、走行音はコンスタル105N2kとほぼ同じです。在籍数は30両にとどまっています。

【車両紹介】ワルシャワ市電の車両たち2011:コンスタル116N/ Rolling stock of Warsaw tram in 2011 : Konstal 116N

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コンスタル116Na。Most Poniatowskiegoにて。
A Konstal 116Na at Most Poniatowskiego.

1998年から製造された部分低床車。日本では部分低床車の評判はいまいちですが、ワルシャワ市電は信用乗車方式となっており、運賃支払いのため車内を移動する必要がないので、部分低床車でも十分に機能を果たしています。
116Nは、その中でさらに116Nと116Naに形式が分かれており、116Naは116Nに比べるとモーター出力がアップしている(50kW×4から75kW×4へ)ことや、誘導電動機を採用していることが相違点です。在籍車のほとんどは116Naで、116Nは1編成のみです。
全長24mの3連接車で、この後導入されたPESA 120Nが30m級なのに比べるとやや小型ですが、複数編成を連結しての運転は行っていません。
この形式の前には、112Nという全長20mの2連接車も製造されましたが、1編成のみの導入にとどまっていますので、試験的な存在のようです。

最前部と最後部の台車、計4軸が駆動軸となっています。2000年までに約30編成が導入されており、訪問時は目抜き通りであるイェロゾリムスキェ通りを通る路線を中心に運用されていました。

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【車両紹介】ワルシャワ市電の車両たち2011:コンスタル105Na/ Rolling stock of Warsaw tram in 2011 : Konstal 105Na

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コンスタル105Na。ヘッドライトケースは原型の四角いもの。ドアの下半分には窓がない。現地ファンサイトによると、これはどうも後天的な改造によるものの模様。
A 105Na with square headlight.

ワルシャワ市電の最大勢力です。
いわゆる「角タトラ」(タトラT5・T6シリーズ)に酷似した外観ですが、ポーランドの国産車となっています。1979年から1992年までの長きにわたって、約2000両(メーターゲージ路線向けの、805Na型も含んだ数)が生産され、ポーランドのほとんどの市電において、その姿を多数目にすることができます。
この車種は、前回ご紹介した13Nを基本として、電機品の改良・車体デザインの変更を行ったものです。特に車体では、デザインの変更とともにドア数の増加が印象的です。客用扉は4扉となり、一面ドアだらけといった風情の外観になっています。また13Nのドアが4枚折戸だったのに対し、105Naはグライトスライド扉となっています。
車内は一人掛けの前向きシートが並び、天井には直方体のカバーに覆われた蛍光灯が並びます。13Nと同じく実用一点張りで全く飾り気のないデザインです。

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105Naの車内。下回りの更新を受けた「105N1k」と称するタイプのもので、車内はあまり手を加えられていないが、電光案内装置の設置が行われている。
Interior of 105Na. Passenger information display is added.

13Nがもっぱら2両連結で運行されているのに対し、105Naは休日などに一部の系統で単車運転が行われています。ワルシャワでは、市電の路線のあるところどこでも見かけることができました。
 コンスタル105Naはなにしろ両数が多いうえ、共産主義政権の崩壊後、経済環境やら技術水準やら生活水準やらが激変したこともあって、多種多様なバリエーションが生じていおり、趣味的にも大変興味深いものとなっています。
 その全容を短い滞在で把握することは出来ませんでしたが、以下にバリエーションの数々をご紹介します。

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【車両紹介】ワルシャワ市電の車両たち2011:コンスタル13N/ Rolling stock of Warsaw tram in 2011 : Konstal 13N

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コンスタル13N。ヘッドライトが角形のものに換装されている。Stare Miasto電停にて。
Konstal 13N at Stare Miasto. Headlight was changed to square lamp.

1959年から製造された車両で、アメリカで生まれたPCCカーの流れを汲む、高性能路面電車初期の車両です。これまでの車両は、戦前からの延長線上にある吊り掛け駆動の四輪単車で、電動車が1~数両のトレーラーを牽くスタイルだったのに対し、コンスタル13Nではカルダン駆動で大型車体のボギー車と、格段に近代化がなされました。
四輪単車では、モーターが60kW程度×2の電動車がトレーラーまで牽引していたのに対し、コンスタル13Nでは41.5kW×4で、しかもトレーラーはなく連結運転時も全電動車編成となりますので、性能面でも大きく向上しています。実際乗車してみるとたいへんな高加減速車で、立っている時は手すりに掴まらないと確実によろけてしまうほどでした。

215812_ZTM(Rondo ONZ)_01トリミング.jpg
コンスタル13Nの後部。先頭部とはかなり印象が異なる造形。Rondo ONZにて。
A tail of Konstal 13N at Rondo ONZ.

チェコスロバキアで生産された、所謂「タトラカー」の元祖であるタトラT1型と類似した車両です。タトラT1は2両だけがワルシャワにも投入され、1956年から1968年まで使用されました。ポーランドの他都市でも、同世代の車両は2011年時点でほぼ淘汰されており、まとまった数で残っていたワルシャワは珍しい存在です。
ちなみにワルシャワ以外の都市では、単車タイプの13Nではなく、2両連接車タイプのコンスタル102N・102Naが多く投入されていました。
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