午前編から続きます
午後は再び電鉄富山から西魚津に向けてのスタートです。
10020型はいったん稲荷町車両基地に引き上げたようですが、稲荷町から電鉄富山への入線時は「普通 電鉄桜井」の方向板を取り付けており、わずか1駅間の走行にもかかわらず隙のないファンサービスには驚かされました。
途中の寺田では若干停車時間があり、ここでもまた方向板を付け替えて撮影できました。特に「修学旅行」の方向板は初めて見るもので、羽根の生えたデザインが格好良いです。
寺田と言えば渋い佇まいのホーム待合室(現在は倉庫として使用)やベンチも特徴で、そちらと10020形を取り合わせても撮影してみました。
またここでは2本の定期列車と離合しましたが、2本目は14720形で似た顔同士の並びとなりました(しかし私はポジション取りに失敗して撮影できず残念)。
寺田発車後の車内では、「いい湯だな」などの車内メロディや、正月用車内BGM用と思しき「春の海」など、車掌さんの計らいによりいくつも放送されました。先ほどの「赤とんぼ」などと合わせ、鉄道唱歌以外にもこんなにあったのかと驚きです。
中滑川では行き違い待ちの間にまたもや方向板を取り換えての撮影が可能で、構内踏切を利用して真っ正面からの撮影もできました。
中滑川を発車するとほどなく西魚津到着です。到着後は早月加積まで往復の実質フォトランですが、西魚津での折り返し停車時間があまり長くないので駅からさほど遠くない線路沿いの路上での撮影としました。
やってきた10020形は「試運転」の方向板を掲げており、スピード感のある書体が特徴的なデザインです。今回は広角で撮影しましたが曇り空であまり絵にならずイマイチ。望遠で車両主体の方が良かったかもしれません。
早月加積からの戻りは沿線でなく駅構内で迎えることにしました。西魚津駅は駅舎もホームも古めかしい風情が今に残っており、それを生かして撮影しようという算段です。
まずは一本前の定期列車を構内踏切で撮影します。
続いて10020形がやってきました。古参のはずの同車ですが、渋い風情の駅にやってきた雷鳥色の電車はひときわ明るく新しい印象に見えます。10020形が若手だった頃は多くの駅や沿線風景がこんな彩度の低い色合いだったはずで、そんな中にやって来る新性能電車というのは、この光景のような鮮烈な印象を人々に与えるものだったのかもしれません。
西魚津で折り返した10020形は上市を経て越中荏原に向かい、折り返して2駅だけ宇奈月方面へ走行して越中舟橋へ、また折り返して稲荷町へ最後の走行へというスケジュールです。
車内では車掌さんのアイディアで突発ジャンケン大会が催され、勝ち残った参加者には乗務員用の行路表がプレゼントされました。乗務員の裁量でその場でイベントができてしまう柔軟さは、地方私鉄の少人数イベントならではの楽しさです。
スイッチバックの上市で短時間停車しましたので下車し、後続の定期列車で越中舟橋で下車します(イベント列車は越中舟橋通過の予定でしたので)。
ここから10分ほど歩いた陸橋上から、10020形を俯瞰気味に狙おうとの考えです。
しばらくすると10020形がやって来ました。ちょっと暗くなってきたところですが、田園風景の中を走る姿を無事収められました。
撮影後は越中舟橋から稲荷町へ最後の乗車をしますが、その前に越中舟橋での停車時間でもまた方向板を何度か取り換えての撮影大会となりました。
越中舟橋から稲荷町へは、沿線撮影組の参加者も多く乗車したようで、多くの席が埋まりました。車内では「最後の鉄道唱歌です」ということで再びチャイムが流されます。最後に運転士・スタッフ・そして10020形に盛大な拍手を!ということで皆の拍手が沸いて稲荷町に到着となりました。
到着後は車両基地内に移動しての夜間撮影会ですが、18時ごろまで入出庫があるので撮影開始はしばらくお待ちを……とのことでした。その間にスタッフの方からアナウンスがあり、「10020形は今日がラストランの予定でしたが、10030形の不具合に伴い翌朝の上滝線に1往復だけ充当します」とのこと。ラストランイベントなのに今日はラストランにならなかったということで、しきりに恐縮されていましたが、個人的には一日であれ10020形の活躍が伸びたのは嬉しいことです。
入出庫が落ち着いた後は撮影会のはずですが、あいにく私は帰りの列車の都合があり、撮影会開始前に離脱することに。車両基地の出口におられた車掌さんに礼を述べてから帰路に就きました。
10020形は平日朝の固定運用1往復以外ではやや捕まえにくい車両で、撮ったり乗ったりが難しく、ましてやその両方となると難しいものがありましたが、今回のイベントでは同じところを行ったり来たりする行程でしたので、「乗ると撮れない、撮ると乗れない」フラストレーションを見事に解消した好イベントでした。
その上方向板や車内放送などでのファンサービスも豊富で、存分に楽しむことができました。この場を借りて富山地方鉄道の皆様にお礼を申し上げます。