【旅行記】ソウル近郊BRT試乗記 Part 3 / [Travel literature] Visit in BRT near Seoul Part3

Part2から続きです。

●バイモーダルトラムに乗車
 佳亭駅から乗車したのは私のほか僅かに2人で、周囲の開発が進んでいないにせよちょっと寂しいところです。運賃は他の路線バスと同じく前扉で運転士の監視のもと支払う方式になっており、欧米のLRTのような信用乗車方式ではありません。
 乗車すると、走り出してもエンジン音は一定なのに対しモーター音が徐々に高まっていく走行音で、パラレル式ハイブリッドならではです。
 佳亭駅を出て最初の停留所付近からは青羅国際都市として既に開発が進んでいるエリアに入っていき、高層マンションが林立して乗客もぼちぼち乗り込んでくるようになります。それでも座席は半分も埋まらず、昼間とは言えバイモーダルトラムはかなり輸送力を持て余しています。
 もっとも、しばらく走るとまた空き地や工事現場が目立つようになり、まだまだ開発途上の街の様相でしたから、この気合の入ったシステムは先行投資のようなものなのでしょう。

ビジネスセンター停留所を青羅国際都市駅へ向け発車してゆくバイモーダルトラム


 折角なので乗車のほかにバスレーンを走っている写真も撮りたいと思い、終点青羅国際都市駅の2つ手前のビジネスセンター(비지니스센터)停留所で下車しました。
 佳亭駅からここまで、中央走行式のバスレーンが完全に確保されており、またグーグルマップの航空写真を見る限り青羅国際都市駅までも中央バスレーンが続いています。
 7700系統とは異なり、停留所におけるバス同士の追い越しレーンは確保されておらず、急行運転を行うつもりはないようです。

屋根・ベンチ・接近表示が完備されたGRTの停留所。複数台停車可能だがバス同士の追い越しは考慮していない構造。


●どのあたりが「Guided」なのか……?
 701・702系統はGRT = Guided Raid Transitと銘打ってはいますが、ここまで乗ってきた限りではバスレーン上にガイドレールは見受けられません。磁気マーカーやペイントマーカーによる自動操舵も行っていないようで、バイモーダルトラムの運転手は普通にハンドルを回しており、「Giuded」ではなさそうです。
 本来はドライバーレスの自動運転を目指しているようですが実現できておらず、今のところはGRTと言うよりはBRTが実態です。またバイモーダルトラムも、名前はトラムですが機能的には連接バスです。
 ただバスレーンの確保は徹底しているので、「Rapid」であることに疑いはありません。信号のタイミングが良くない箇所が一部交差点にあるので、優先信号があれば更にRapidになれましょう。

●GRTを撮影
 青羅国際都市駅で折り返してくるバイモーダルトラムを撮影すべく、ビジネスセンター停留所付近で待ちます。
 ここは701・702の両系統が通るため、比較的頻繁にバスがやってきます。バス停周囲は空き地や工事中の場所が目立ちますが、それらを画面に入れることで新しい街らしさが強調できる写真になったと思います。

新しい高層マンションが林立する中を走るGRTの一般型バス。


ビジネスセンター停留所を発車する駅からのバス。こちら側は空き地ばかりで建物があまり入らない構図。背後の交差点にはバス用信号も見える。


一般型バス(エジソン・ファイアーバード)を形式写真風に。


 やがてバイモーダルトラムが702系統で戻って来ました。

雨が降りしきる中、駅から戻ってきたバイモーダルトラム。


 折角ですので新しい建物が立ち並ぶあたりでも撮影したいと思い、後続の便で景明小学校(경명초등학교)まで戻ります。
 停留所のホームから佳亭駅方向を見ると、真新しい高層マンションのほかにシンボリックなデザインの歩道橋も入ります。新しい街並みを走る未来的な外観のバスは特徴的な景観で、撮り甲斐のある景色です。

新しい街並みの中を快走するバイモーダルトラム。


 これでGRTの撮影は終了とし、やってきた702系統の一般バスで佳亭駅へ向かいます。
 計画的に作られた街で、公共交通にここまで力を入れ、スペースを取った設計は日本ではお目にかかれないもので、公共交通への公的支援やバスレーン確保にアレルギーの強い日本から見ると羨ましい限りです。

 Part4に続きます。Part4は仁川地下鉄と空港鉄道の話になりますので、オマケみたいなものです。

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