以前の記事で、都市交通博物館に展示されているプラハ市電の旧型電車を取り上げましたが、そのときの来訪(2009年)で現役車両も撮影していますので、折角ですのでそちらも取り上げていこうと思います。
プラハ市電の車種は大きく分けて4車種あり、シュコダ14T、タトラT6A5、タトラKT8D5、タトラT3(以上は新しい順)が現役車両として運行されていました。ほかに、最新型車両としてシュコダ15Tがあり、これは訪問当時プロトタイプ車が試験中でしたが(なお現在は通常運行に供されています)、残念ながら目にすることができませんでしたので、割愛します。
今回より上記4種の車両を新しい順に取り上げていこうと思いますので、まずはシュコダ14Tからご紹介します。
シュコダ14Tはプラハ市電初の超低床車として、2005年より導入されました。全長30m級の5連接車で、タトラT3の2両分とほぼ同じ長さです。定員は279名で、タトラT3(2両で220名)に比べると若干増加していますが、段差が多く通路も狭い部分があるので、体感的には「そんなに多いか?」という印象でした。
車体はポルシェデザイン事務所がデザインに協力した斬新な形態で、塗装も伝統の赤白ツートンカラーから、銀と赤になっています。
5車体のうち前から1・3・5車体目は台車があり高床構造で、フローティング構造となる2・4車体目が低床部となっています。車内は、1・3・5車体目がロングシート、低床の2・4車体目が1+2配置の前向きクロスシートで、バケットシートに赤色のモケットが貼られています。台車はすべて電動台車となっており、編成での合計電動機出力は540kWで、急勾配もあるプラハ市電の特性から、85パーミル勾配まで対応可能となっています。なお一般的なボギー車と異なり、台車は回転しない構造となっています。制御方式は当然インバータ制御となっています。
涼しい欧州でも近年は冷房付きの電車が増えていますが、この車種では冷房は装備されていません(その割に、窓は上部だけが開く内倒れ窓ですが、夏は大丈夫なんでしょうか……)。
プラハでは初の超低床車として60編成が導入されており、市内各所で目にすることができます。しかしながら、台車が回転しない構造となっているため急カーブでの軌道に与えるダメージが大きく、事業者としてはできれば他都市に売却するなどしたい意向のようです。
本車はメーカーでは「Elektra」のブランド名で称しており、同型車は他にブルノ、ポーランドのブロツワフでも導入されています。また車体デザインの異なるタイプが、アメリカのポートランド、カナダのカルガリーへも輸出されています。