【旅行記】ソウル近郊BRT試乗記 Part 2 / [Travel literature] Visit in BRT near Seoul Part2

Part1から続きです。

●GRTの停留所に到着
 佳亭駅からはいよいよGRT(Guided Rapid Transit)なる珍しい名称の乗り物に乗ります。事前に調べたところによれば、連接バスと一般的なバスの2種が運行されているそうで、連接バスは「バイモーダルトラム」と呼ばれる自動運転対応車が走っているようなので、できれば連接バスを撮りたい・乗りたいところです。
 しかしスマホアプリでバスロケーションシステムを見ると、この時バイモーダルトラムは702系統に1台運用されているのみのようでした(ソウルのバスロケは走行中の車番もわかるので、お目当ての車両の車番を知っていればこういうことがその場でわかります)。
 バス停掲示の時刻表には「赤字:バイモーダルトラムで運行」の旨の記載がありますが、それには従っていないようです。

佳亭駅バス停のGRT時刻表。赤文字はバイモーダルトラムとの備考があるが……


 仕方ないので一般バス車両によるGRTを撮りながら、連接バスの到着を待ちます。

 一般バス車両の方も、バイモーダルトラムほどのインパクトはないものの、専用塗装で他路線との差別化が図られており、行先表示にも「GRT」と表示されています。車体には「CNG」の表示があり、CNG燃料の低公害車ですが、この点はソウル周辺の路線バスでは珍しいものではありません。
 車種はエジソン・モータースのファイアーバードで、当路線のほかソウル市内などでも目にすることができるバスです。電気バス仕様もありますが、当路線ではCNG車が走っています。
 ちなみに日本でも北九州市交通局が電気バスとして同型車を運行していますが、車体は韓国製・走行機器は日本製となっていますので、韓国で走っているものとは外見が同じでも中身は異なります。

一般車両(エジソン・ファイアーバード)によるGRT。


●いよいよバイモーダルトラムの登場
 15分ほど待つと、バイモーダルトラムが702系統でやって来ました。流線型の前面、できる限り端に寄せられた前後のタイヤなど、普通の連接バス(メルセデスのシターロG等)とは異なる未来的な外観です。

佳亭駅にやって来たバイモーダルトラム。

バイモーダルトラムをサイドから。ホイールベースは非常に長い。


 701・702系統とも佳亭駅が終点で、到着したバスは中央分離帯のUターン路を使って折り返します。中央分離帯の幅は広く、見たところ連接バスでも折り返しに支障はなさそうです。折り返したバスは7700系統と共用の停留所に入ってきます。

 このバスの車種は宇進産電製の「アポロ2000」で、ディーゼルエンジンとモーターを装備するパラレルハイブリッド車です。宇進産電は鉄道車両関係を得意とするメーカーですが、パラレルハイブリッドで電機系のノウハウを生かせるからこそ、このバスを製造しているものと推測します。

佳亭駅の停留所に進入するGRTのバイモーダルトラム。


 客室内はフラットな床が前扉から車体後端近くまで広がっており、段上げは最後部座席付近にあるのみです。運転席は前輪上の高い位置にあり、前輪と最後輪を極端に前後端へ寄せることで客室には広いフラットスペースを生み出していることが判ります。
 外観はオランダのバイモーダルトラム「フィリアス」と似ていますが、極力フラットな客室を実現しようとすると自ずと前後輪は端に寄ることになりますので、似てくるのも道理ではありましょう。
 こういう軸配置だとホイールベースが長くなり機動性は落ちます(最小回転半径は11.4mで、シターロGの9.6mといった値に比べると大きいです)が、GRTは専用レーンが全線完備されていますので、そこはあまり気にしなくて良いのかもしれません。
 ただ、第一・第三軸を如何に端に寄せたとしても、第二軸はどうしても車体中央付近に置かざるを得ず、連接部のすぐ前にはタイヤハウスの箱が居座っています。一般的な連接バスだとタイヤハウス上にも座席がありますが、この車両ではそこの有効活用は諦めているようで、車内から見るとデッドスペースと化しています。もっとも、タイヤハウスにしては妙に背が高いので、何か機器が入っているのかもしれません。

GRTのバイモーダルトラム車内。

 Part3に続きます。

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