2019年9月29日、富山地方鉄道で長年活躍してきた10020形のラストランイベントに私は参加してきました。
乗る・撮るの両方を楽しめる充実したイベントでしたので、その時の模様をお伝えしたいと思います。
本イベントは往復ハガキによる事前応募制(定員100名)で、9月17日の夜に富山地鉄公式サイトで告知が掲載されましたが、早くも20日には満員になったとの告知が掲載されていました。郵送に要する期間を考えると、おそらく18日か19日に投函した人が参加できたのでしょう。
当日は朝9時までに電鉄富山駅集合とのことで、受付に並んで料金を払うと、写真のように参加証を兼ねた特別列車の時刻と、10020形登場時のパンフレット(複製)がもらえました。
「10020形使用の臨時列車を走らせるので、乗るも降りるも撮るもご自由に」というスタンスのようです。撮影派の方々は早速沿線に散っていったようですが、私は乗車することにしました。
まずは入線時の姿を撮影です。さよならヘッドマークが取り付けられていたので、これからこれで行くのかな?とこの時は思っていたのですが、全然そんなことはなくファンサービスの嵐が待っているのでした。
臨時列車は予定通り9:22に発車しました。発車するとスピーカーからは鉄道唱歌チャイムが流れてびっくり。国鉄のものとは副旋律が異なる富山地鉄オリジナルメロディで、以前流していたと話には聞いていましたが実際に耳にできるとは思ってもいませんでした。
後ほど車内放送で案内があったところによれば、このチャイムは愛好家から貸し出しを受けたものだそうで、なかなか粋な計らいです。
臨時列車はあっという間に最初の折り返し駅、越中舟橋に到着しました。
この後列車は越中舟橋〜越中荏原という短区間を往復しますが、これは実質的に常願寺川橋梁で撮影している人に向けてのフォトランでしょう。もっとも私は常願寺川橋梁最寄りの越中荏原では降りなかったので、越中舟橋で駅撮りとしました(越中舟橋付近では線路沿いに田んぼが広がるところもあるのですが、線路脇の雑草の繁茂が激しく断念しました)。
越中荏原からやってきた列車には、早朝の立山線快速急行の方向板が取り付けられていてまたびっくり。
折り返し待ちの間にも更にいろいろ方向板の取り替えがあり、撮影に忙しいです。
越中舟橋を出た列車が2駅だけ走って越中荏原へ着くと、折り返し時に再び方向板をつけての撮影大会。随分年季の入った「特急 立山」の方向板も登場しました。子供の頃、保育社「私鉄の車両」シリーズで見た記憶のある方向板ですが、2019年にもなって実際に電車に取り付けられているところを目にできるとは! これはどうやら参加者の持ち込みのようですが、なんとそのまま発車しました。実に柔軟な対応で、沿線で待ち構えている撮影者は喜びそうです。
列車は西魚津へ向かって進みますが、スイッチバックの上市では10分ほど停車時間があり、またしても方向板をとっかえひっかえの撮影大会となりました。
中でも興味を惹かれたのは縦書きの「寺田」「岩峅寺」で、丸板を用いるより更に前のものでしょうか? 続いて「普通 電鉄桜井」が登場したのにもびっくりさせられました。電鉄桜井とは現在の電鉄黒部駅のことですが、改称されたのが1989年のことですから、レプリカでなければ少なくとも30年以上前のものということになります。
上市からは参加証の検札がありましたが、鋏または数種類の検札印から参加者が好きなものを選べ、なんなら「全部!」でもいいよというサービスぶりで参加者に喜ばれていました。
西魚津に到着後はしばらく停車したのち、2駅前の早月加積へ往復するフォトランです。
幸い、西魚津駅の裏手は道路上から田圃越しに順光で列車が狙えそうですので、そこから撮影することにしました。
まずは早月加積行きを車両メインで撮影します。
戻りは空を大きく入れるとともに、ミラージュランドの観覧車をバックに撮影してみました。この場所ならではの風景を切り取れて満足です。
西魚津からは一路電鉄富山へ戻ります。素直に戻るだけと思いきやここでもネタが仕込まれており、西魚津発車後と電鉄富山到着前の車内放の冒頭にはかつて使われていた「赤とんぼ」等の車内メロディが流されました。
電鉄富山に到着して午前の部は終了ではありますが、通常の2連停車位置より随分手前に停まりました。宇奈月方へ歩いてみると、ちょうど隣に停車していたダブルデッカーエクスプレス3連と頭を揃えるように停車しており、並びが撮りやすいようにと配慮してもらえたようです。
ここでもまた方向板を色々取り付けての撮影が楽しめました。
午後編(11月下旬公開予定)へ続きます。