タトラKT8D5は、1986年から1990年まで納入された3車体4台車の連接車です。
プラハ以外では、オストラヴァ、ブルノ、コシツェなど主に旧チェコスロバキア国内で姿を見られますが、特異なところでは北朝鮮・平壌向けにもまとまった数が輸出されており、現在でも多数が働いているようです。プラハ市電では46編成が在籍しており、その他に更新工事(後述)を受けなかった車両が市電博物館の保存車として1編成存在します。
プラハ市電では唯一の両運転台型で、片運転台車とは違いドアも両側面にあります。車体の全長は約30mで、単車タイプであるタトラT3やT6A5(いずれも全長14m)の2両分とほぼ同程度の輸送力です。
外観は所謂「角タトラ」の系譜に連なるものですが、先頭部分の頭上に突き出た系統番号表示が特徴的です。都市交通博物館に保存されている旧型電車にも同型の系統番号表示がありますが、タトラカーで存在しているのはKT8D5だけで、タトラT1~T3で一旦途絶えた伝統がタトラKT8D5でまた復活したというのも興味深いものがあります。
2004年からは更新工事が行われています。最大の変化は中間車体が低床化されたことで、その他に頭上の系統番号表示が撤去され、行先表示が大型のマグサイン式(系統番号もそちらに表示)になる、番号が改められる(元番号に+50)などの変化があります。更新後の形式はKT8D5R.N2Pとされました。
私のプラハ訪問当時は更新車・未更新車が混在している状態でしたが、更新工事は2014年までに1編成を残して完了し、未更新のまま残った1編成は営業から外れ、都市交通博物館の保存車両に仲間入りをしました。なお博物館に展示されているのか、非公開の倉庫に収蔵されているのかは不明です。