【車両紹介】ポーランド国鉄 EN57型のバラエティ/ Variety of PKP EN57

【車両紹介】ポーランド国鉄 EN57型のバラエティ/ Variety of PKP EN57
EN57は、1961年から約30年にわたり実に1412編成が製造された、ポーランド国鉄を代表する電車です。大都市の近郊電車から中長距離のインターレギオ(日本で言う快速に相当しますが、イメージ的には急行東海や大垣夜行クラスの距離を走る列車をイメージしていただいたほうが適切でしょう。客車による運行も多いです)まで幅広く使われています。その姿は東京・大阪近郊の普通から所謂「遜色急行」まで使われた国鉄近郊型電車を彷彿とさせます。
全編成ともTc-M-Tcの三両固定編成で、吊り掛け駆動となっており、重厚な走行音を奏でます(走行音は「トラムのひびき」サイト内でお聞きいただけます)。

EN57はもともと両数が多い上、1989年の東欧革命以後は生活・技術水準や競合交通機関などの状況が激変し、鉄道の経営形態にも大きな変化があったため、その変化に応じて多種多様なバリエーションが生まれています。塗装変更や内装のリニューアルを行った車両から、冷房化・インバーター制御化といった抜本的な更新を行った車両まで登場しており、趣味的に非常に興味深い状態になっています。
2011年1月・2011年7月にポーランドを訪問した際、多様なEN57の写真を多く撮影しました。もちろん、全てのバリエーションを網羅するには至っていませんが、その片鱗をお楽しみいただければ幸いです。

PKP EN57 is most majour EMU in Poland. EN57 was built 1412 units from 1961 to 1993. Today, EN57 has many varieties of liveries, electric equipments and interieurs by modernization or color changing. It’s very interesting for railway enthusiasts.
I visited Poland in Janualy 2011 and July 2011. I could take many pictures of EN57. You can see the variety of EN57 by following pictures.

もっとも典型的なEN57。この塗装がPKPの標準色です。ほとんどのEN57は、このように行先表示がLEDに換装されています。[Kraków Główny:クラクフ中央駅] / EN57 with standard PKP livery. Destination sign was changed to LED sign. [Kraków Główny]

もっとも典型的なEN57。この塗装がPKPの標準色です。ほとんどのEN57は、このように行先表示がLEDに換装されています。[Kraków Główny:クラクフ中央駅] / EN57 with standard PKP livery. Destination sign was changed to LED sign. [Kraków Główny]

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【写真】雪晴れの都電荒川線 / [Picture] Tokyo tram in fine day after heavy snow.

東京に約半世紀ぶりの積雪(26cm)となった2014年2月8日の翌日、雪晴れとなったので都電を撮影してきました。
お昼ごろの撮影ですが、東京で雪晴れとなっても大抵はすぐに融けてしまいますので、このように遅くまで残っているのは珍しい光景でした。
下記の地図に示すコースで撮影してきたものをお目にかけます。ご笑覧下さい。

In 8th Feb. 2014, it was heavy snow in Tokyo. The snow lay 26cm deep. It’s very strange in Tokyo.
But next day was sunny day. Clear sky with whited cityscape is strange too.
I went to Tokyo downtown to take a pictures of Toden (Toden means “Tokyo metropolitan tramway” in Japanese).
My journey was following route(see map bellow):
My home -> Kasuga station -(Toei bus)-> Waseda tram and bus stop -(Toden)-> Toden zoshigaya tram stop -(Walking and taking pictures)-> Kishibojin-mae tram stop -(Walking and taking pictures)-> Kishibojin-mae bus stop -(Toei bus)->Ushigome-Yanagicho station -> My home
I could take many pictures of Toden with snowy cityscape and blue sky. Please enjoy the pictures bellow.


大きな地図で見る

当日は都営交通一日券を購入してありましたので、春日駅から都営バスで早稲田に向かいます。
雪の積もった中を走る都バスというのも珍しいので、こちらも撮影しておきます。都バスはチェーンを装着していましたが、路肩にはまだまだ雪が多く残っており、バス停からの発進時にはスリップが多発して苦労していました。

上58系統で運行中のいすゞエルガ[春日駅前] / ISUZU "ERGA" of Toei bus [Kasuga station]

上58系統で運行中のいすゞエルガ[春日駅前] / ISUZU “ERGA” of Toei bus [Kasuga station]

 早稲田から都電に乗り、雑司が谷あたりのアップダウンを撮ろうと考えて都電雑司が谷電停で下車します。
まずは降りたところで、カーブを曲がってくる電車を撮影。この雰囲気は郊外電車的で、江ノ電や京阪石山坂本線あたりの電車がやってきてもおかしくなさそうです。実際創業期は郊外電車のようなものでしたし。

都電雑司ヶ谷に到着する8800型 / Type 8800 approaches at Toden Zoshigaya.

都電雑司ヶ谷に到着する8800型 / Type 8800 approaches at Toden Zoshigaya.

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【音】関東鉄道竜ヶ崎線 キハ532 / [Sound]KIHA532 on Kanto railway Ryugasaki line

【音】関東鉄道 キハ532 龍ヶ崎→佐貫
[Sound] Kanto railway, KIHA532, Ryugasaki -> Sanuki

龍ヶ崎に向かうキハ532(佐貫~入地) / KIHA532 train heading Ryugasaki runs between Sanuki - Ireji.

龍ヶ崎に向かうキハ532(佐貫~入地) / KIHA532 train heading Ryugasaki runs between Sanuki and Ireji.

関東鉄道竜ヶ崎線に残る旧型車、キハ532を録音しました。2012年末までは国鉄型のDMH17エンジンを装備していることで知られていましたが、現在はキハ2000型などと同じDMF13HZに換装されています。この音は換装後に収録しました。
竜ヶ崎線といえば戦後における鉄道のワンマン運転の先駆けであり、それは今日でも当然続いていますが、異色なのは車内放送が運転士により行われること(キハ2000型には自動放送があります)で、おまけに運賃箱や整理券発行機も無く、音を聞く限りはまるで車掌が乗務しているかのようです。路線が短いので、肉声でも運転士の負担が少ないということなのでしょう。
総延長わずか4.5kmの路線で、途中駅もあるとなると、のんびりした走りをしているのではないかと思ってしまいますが、抱いていたイメージに反して走りは軽快で、直結段まで入る運転をしており、またロングレール化も行われていないため、エンジン音・ジョイント音ともに短距離ながらもそれなりの音を楽しめます。

Kanto railway Ryugasaki line is 5.4km non-electrified railway with single track, located in 50km northeast from Tokyo. The line is operated by only 3 DMUs. 2 cars are modern DMU, type キハ2000(KIHA2000). 1 car is キハ532(KIHA532) made in 1981.
KIHA532 is operated in only 4 days in a month(As of 2013, daytime of 1st & 3rd Saturdays, 2nd & 4th Sundays).
I could record the sound of KIHA532 in October 2013.
Ryugasaki line is short rural railway. But maximum speed is not slow. You can listen the sound by gentle speed running.
All trains of this line are conductorless trains. But all annoucements are spoken by driver. It’s very strange as conductorless trains in Japan.

【本の紹介】Tram Atlas Deutschland (ドイツ市電地図)

路面電車大国ドイツの全ての市電について、路線図を収録した本。
路線図はすべて正縮尺の上に描かれたもので、模式図とは違った臨場感が楽しめます。路線図上にはもちろん系統番号も付されていますから、運行系統もわかりますし、無数に存在する電停も完全に表記されています。さらに計画線や休止線も表わされています。
ドイツではベルリン、ケルン、ライプツィヒなど、総延長100kmを超えるようなとてつもなく規模の大きい路面電車網も散見されますが、全て省略無く地図に収められています。
また、ライン・ルール地方やハノーファー、フランクフルト・アム・マインなどには、路面電車なのか地下鉄なのか微妙な鉄道(シュタットバーン)もありますが、それらも漏れなく収録されており、中途半端なところはまったく無い仕上がりです。

各都市とも、路線図のほかに路線延長、運転間隔(これは各都市ともパターンダイヤ化が徹底しているからこそできる表記でしょう)、運用されている車両形式(これは本当に形式だけで、車両解説はありません。事業用車や保存車は省略)などのデータが記載されているほか、写真も少なからず掲載されています。「Atlas」と銘打ってはいるものの、それにとどまらない情報量で、この一冊で路線網はもちろん、それ以外のこともある程度把握できてしまいます。

圧巻はライン・ルール地方の路線図で、デュッセルドルフ、デュイスブルク、オーバーハウゼン、エッセンを経てボーフムまで、複数の都市の市電が融合した巨大路線網が全て描ききられています。一方で、ヴォルタースドルフ、ナウムブルクなど、総延長10kmに満たないごく小規模の路線のページを眺めるのも楽しく、小さな町を二軸電車がとことこ走る光景が目に浮かびます。

本書はドイツ人であるロバート・シュヴァンドル氏によるものですが、当然ながら路線図を楽しむのに語学力は不要ですし、凡例をはじめとしたテキストには全てドイツ語のほか英語も併記されていますので、ドイツ語が理解できなくとも読むのに問題はまったくありません。

※本書に邦題はありません。ドイツ市電地図とは、理解しやすいように便宜的に表記したものです。

【旅行記】ブッコー小鉄道訪問記2010(下)/ Visit of Buckower Kleinbahn in 2010 (Part 3)

折り返しのレールバスで再びミュンヘベルクへ戻ります。
戻りもまた10人足らずの乗客数で、ボックス席を占領してのんびりできます。
と、発車後しばらくして車掌氏がやってきて、ドイツ語でなにやら言ってきます。身振りから察するに、「運転席に来ないかい?」ということのよう。
ならば誘いに乗らない手はありません。お礼を言って運転席へ入ります。
保存鉄道とはいえ、営業運転中の列車の運転席に入るなど生まれて初めての経験。ブッコーの駅で写真を撮っていたのが目に留まったのでしょうか、ありがたいことです。日本だったら到底考えられないことで、こういう寛容さがあるのは羨ましいです。

Waldsieversdorf駅停車中、運転席より / Cab view at Waldsieversdorf station.

Waldsieversdorf駅停車中、運転席より / Cab view at Waldsieversdorf station.


スピードを出してもせいぜい30km/hほどのゆっくりした走行ですが、それでもすぐ目の前を線路が流れてゆく景色は格別です。
線路脇に倒れている架線柱がつい気になってしまいますが。

運転席に座ると、なおのこと5キロの道のりはあっという間。ゆっくり走っているし、運転士氏もボランティアっぽいので、「俺にも運転させてくれ」という言葉が出かかりましたが、出る前にミュンヘベルクに到着です。

ミュンヘベルクに停車中の列車 / Train at Müncheberg station.

ミュンヘベルクに停車中の列車 / Train at Müncheberg station.


ベルリンへの本線ホームから見たブッコー行きホーム / Buckower Kleinbahn Platform. Taken at mainline platform.

ベルリンへの本線ホームから見たブッコー行きホーム / Buckower Kleinbahn Platform. Taken at mainline platform.


ベルリンへの列車に乗って、来た道を戻ります。ポーランドからやってきた国際普通列車は、往路と同じ車両・乗務員でした。

参考:ブッコー小鉄道公式サイト

【旅行記】ブッコー小鉄道訪問記2010(中)/ Visit of Buckower Kleinbahn in 2010 (Part 2)

発車して程なくすると、車掌さんがきっぷを売りに来ます。車掌さんは私服のおじさん(ついでにビール腹)。この鉄道は1998年に国鉄路線としては廃止され、2002年から愛好家の手による保存鉄道として再出発していますので、車掌さんもボランティアのようです。
車掌さんはあいにくドイツ語しか話せなくて、こちらもドイツ語といえば「Rückfahrkarte bitte.(往復券ください)」くらいしか発せない程度の語学力ですが、身振り手振りで「往復でいいの?」「うんうん」「4ユーロね」「OK」といったやり取りをして、無事購入。乗客は自分を入れて10人足らずで、みな地元周辺からピクニックにでも来た感じの乗客です。

レールバスは時速30キロくらいでゆっくりと走行し、途中に湖が見えるところではさらに徐行してのサービスがあります。唯一の途中駅、ヴァルドスィーファースドルフ(Waldsieversdorf)に停まると、3人連れが車掌と「チュース(バイバイの意)」と挨拶を交わしながら降りていきます。

相当ゆっくり走ったレールバスですが、なにしろわずか5キロの路線ゆえ、10分ほどで終点のブッコー・メルキッシュバイツに到着します。車掌さんは楽しげに「ブッコウ・メールキッシュヴァイツ♪」と車内へ呼びかけ。他のお客さんと同じように「チュース」と挨拶しながらホームに降り立つと、駅には小さな車両基地が同居していました。

ブッコーに到着したレールバス / A MAN VT arrived at Buckow.

ブッコーに到着したレールバス / A MAN VT arrived at Buckow.

 

ブッコーの小さな検修庫 / Small depot at Buckow.

ブッコーの小さな検修庫 / Small depot at Buckow.

これが本当は乗るはずだった279型。短い車体長、実用本位のスタイル、程よい古臭さと、田舎電車好きとしては鼻血が出そうな車両です。丸っこいレールバスも悪くはないのですが、やはりこちらに乗りたかったですね。レールバスのほうは他の保存鉄道でも乗れますし。

ブッコー駅構内で暇をもてあます279型 / A BR279 at Buckow.

ブッコー駅構内で暇をもてあます279型の制御車。電動車はクラの中で寝ていました。 / A BR279 at Buckow.

こちらの凸型電機もまた好ましいスタイルです。こちらはブッコー小鉄道の生え抜きではなく、近隣のシュトラウスベルク鉄道(現在も路面電車型車両を用いて盛業中ですが、貨物営業は廃止されています)から引き取ってきたものです。シュトラウスベルク鉄道のイベントの際に貸し出したこともあるそうです。

EL4型 / Two EL4 locomotives.

EL4型 / Two EL4 locomotives.

これはベルリンSバーンの旧型車(477系)ですね。もちろんこの鉄道で走ったことは無く、保存活動の一環として置いてあるのでしょう。編成丸ごと(2両)での保存は好印象ですが、落書きが残念。

ベルリンSバーンの477型 / Stored BR477 of S-Bahn Berlin.

ベルリンSバーンの477型 / Stored BR477 of S-Bahn Berlin.

電機の隣に居た入換機。黒いほう(1934年製のいわゆる「Kö I」と呼ばれるシリーズ)は極端に背が低くて特異なスタイルですが、後継機と合わせ、こういった形態の機関車はドイツ全土で見られました。

Kö型入換機 / Kö shunter.

Kö型入換機 / Kö shunter.

 

V22型入換機 / V22 shunter.

V22型入換機 / V22 shunter.

車両以外にも、ホームには標識やら腕木式信号機やら、いろいろガラクタが置いてあります。駅舎内には鉄道模型レイアウトもあり、この駅全体が鉄道ファンの趣味部屋を巨大化したもののような印象を受けるものでした。

ホームの入口 / Entrance of platform.

ホームの入口 / Entrance of platform.

いったん外に出て、駅舎の外観。いかにも田舎電車のターミナルといった感じで、大変良い印象です。

ブッコー駅舎 / Station building of Buckow.

ブッコー駅舎 / Station building of Buckow.

駅前広場には、この鉄道の歴史を解説した案内板が立っていました(しかもこんな田舎なのに二ヶ国語!)。町としてこの鉄道のことを後世に伝えようという想いが感じられるようで、嬉しい存在です。ただ、「Buckower Kleinbahn」を「Buckow Narrow Gauge Railway」と訳してしまっている(当鉄道は標準軌です)のはご愛嬌。
ちなみに帰国後歴史を調べると、ベルリンからの幹線鉄道に素通りされたブッコーの町の人たちが設立した私鉄として開業したということで、日本の小私鉄と同様の事情であることに親近感を感じます。ちなみに開業時は750mmゲージの非電化私鉄だったそうで、標準軌への改軌と電化は1930年とのこと。

ブッコー小鉄道の歴史を解説した案内板 / Information board of history of Buckower Kleinbahn.

ブッコー小鉄道の歴史を解説した案内板 / Information board of history of Buckower Kleinbahn.

案内板の内容 / Magnified image of information board.

案内板の内容 / Magnified image of information board.

つづく

【旅行記】ブッコー小鉄道訪問記2010(上)/ Visit on Buckower Kleinbahn in 2010 (Part 1)

2010年の夏、ベルリン東郊のさらに東を走る保存鉄道、ブッコー小鉄道(Buckower Kleinbahn)に乗りに行きました。
総延長はわずかに4.9km、沿線に観光地や有名撮影スポットがあるわけでもないこの鉄道になぜ乗りに行ったかといえば、279型なる小型電車が走っているらしいからです。その小さな姿も魅力なら、直流750V駆動・全長15mの二軸車という地方私鉄然とした車両ながら、れっきとした国鉄電車として生を受けたという点も面白く、ぜひ乗ってみたいと思っていたのでした。
この279型、走っているのはドイツ国内でたった二箇所だけで、ひとつはオーベルバイスバッハ山岳鉄道というドイツ中部テューリンゲン州の小路線で、もうひとつがブッコー小鉄道です。この旅行ではベルリンにしばらく滞在したので、ベルリンから容易に訪問可能なこの路線を訪ねることにしました。

この鉄道について日本語の情報は限りなく皆無に近く(「官製地図を求めて」に若干の情報があります)、たぶん本記事が日本初の訪問記ではないかと思います。ひょっとすると日本人の訪問自体初めてではないかという気がしますが、どうなんでしょうね。

さて、ブッコー小鉄道の始発駅ミュンヘベルク(Müncheberg)へは、ベルリン東部のターミナル駅、リヒテンベルク駅からローカル列車に乗ります。東西ドイツ分断時代は、長距離列車の発着駅として賑わったらしいのですが、現在はローカル列車とSバーンのみの発着で、長いホームと大きな駅舎を持て余しています。駅舎には「駅ナカ」もあるのですが、空き店舗もちらほら。
構内の端には旧東ドイツ国鉄が誇った特急気動車VT18が保存されていますが、コンディションはちょっとさびしい状態。

リヒテンベルク駅の片隅に保存されているVT18 / Preserved VT18 at Berlin-Lichtenberg.

リヒテンベルク駅の片隅に保存されているVT18 / Preserved VT18 at Berlin-Lichtenberg.

ここから出ているローカル線の一つが、ポーランド・コストシン(Kostrzyn)へ向かう系統です。この路線は「オストバーン(Ostbahn。東方鉄道の意)」と称され、そのまままっすぐ東へ向かうと、バルト海沿いのグダンスク Gdańsk(ドイツ語名ダンツィヒ Danzig)、ロシアの飛び地カリーニングラード Калининград(ドイツ語名ケーニヒスベルク Königsberg)まで線路がつながっています。第二次大戦前はいずれもドイツ領だったことから、重要な幹線だった筈ですが、現在は写真の通り2両編成の普通列車が往来するローカル線に成り下がっています。
行先は「Kostrzyn(PL)」と、ポーランドであることを強調して表示しており、車内放送も2ヶ国語で、鈍行とはいえ一応国際列車です。

ベルリンからのコストシン行きローカル列車。列車の運行業務はニーダーバルニム鉄道(Niederbarnimer Eisenbahn)によって行われていました / A Niederbarnimer Eisenbahn train from Berlin-Lichtenberg. Taken at Müncheberg(Mark).

ベルリンからのコストシン行きローカル列車。列車の運行業務はニーダーバルニム鉄道(Niederbarnimer Eisenbahn)によって行われていました / A Niederbarnimer Eisenbahn train from Berlin-Lichtenberg. Taken at Müncheberg(Mark).

リヒテンベルクを発車して30分ほど、ディーゼルカーはまっすぐな線路を快調に飛ばし、ミュンヘベルクへ到着しました。連絡通路には、ブッコー小鉄道の看板が出ており、それにしたがって連絡通路からホームへ上がると、客を待っていた車掌が「ハロー」と挨拶して迎えてくれます。

そしていよいよ279型との対面、と思ったのですが……

ミュンヘベルク駅に停車中のレールバス / A railbus at Müncheberg. This is replacement service of EMU.

ミュンヘベルク駅に停車中のレールバス / A railbus at Müncheberg. This is replacement service of EMU.

なんと、そこに停まっていたのはレールバスでした。ショック!

帰国してから調べたところによれば、2010年6月にトロリー線の盗難に遭ってしまい、やむなく電車運転を休止しているところだったようです(ちなみに2011年には修復され、電車運転に戻っています)。

とはいえ、いまどきこの古いレールバスに乗れるのも貴重ですので、気を取り直して乗ってみます。

つづく

【本の紹介】世界の路面電車ビジュアル図鑑

●世界中を網羅した驚くべきボリューム
まさに圧倒的なボリュームの本です。世界50カ国400以上の都市の路面電車を紹介するという、おそらくは前代未聞と思われる企画で、これを筆者一人で訪問したというのですから驚くほかありません。
日本で紹介される海外の路面電車というと、LRT先進地域というべき西欧や北アメリカか、日本人でも身近な中国などの電車が多いですが、本書はそれらの国々は当然のこと、旧ソ連やトルコ、中東欧など、馴染みの薄い国々の路面電車も扱われています。
ロシアのマイナー都市や、ウクライナ、ブルガリア、カザフスタンなど、和書はもちろんネット上でも情報の少ない国・都市の電車が多数登場しており(流石に北朝鮮は扱われていませんが……)、これだけ情報の入手が容易になった昨今でも、まだまだ知らない電車がこんなにあるのか!と新鮮な気持ちにさせられます。
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【音】デュワグカーの爆走 – ライン・ネッカー交通 デュワグGT8 / [Sound] Rhein-Necker-Verkehr, Duewag GT8

【音】ライン・ネッカー交通 デュワグGT8 5系統 Seckenheim Bahnhof OEG→Edingen Bahnhof
[Sound] Rhein-NEcker-Verkehr, Duewag GT8, Line5 Seckenheim Bahnhof OEG -> Edingen Bahnhof

ハイデルベルク市内を走るデュワグGT8(2009年5月、AdenauerPlatz) A Duewag GT8 at AdenauerPlatz.

ハイデルベルク市内を走るデュワグGT8(2009年5月、AdenauerPlatz)
A Duewag GT8 at AdenauerPlatz.

もっとも一般的な路面電車車両の一つとして西ドイツ全土で見られた、いわゆる「デュワグカー」の走行音です。録音を行ったのは、ドイツ中部のマンハイム~ハイデルベルク間を結ぶインターアーバン路線で、市街地は併用軌道、郊外は専用軌道となっており、専用軌道区間は筑豊電鉄のような雰囲気になっています(筑豊電鉄のような高架・掘割区間は無いですが)。

現在は路面電車型の車両(収録した2009年時点では、デュワグカーのほか、超低床車ヴァリオバーンも投入されていました)が走っていますが、以前は市内電車とは異なる、ステップ付のボギー高床電車が走っていました。
現在のデュワグカーについても、乗車距離が長いせいか市内線用よりもドアが少なく座席の多い仕様(上掲の写真)が投入されており、車種は市内電車と同じなれど、仕様はインターアーバンらしさが感じられるものでした。

お聞きいただくのは、専用軌道区間の走りで、比較的駅間距離も長いところです。
併用軌道区間では路上を静かに走っていたデュワグカーですが、専用軌道に入ると豹変し、モーターをぶんぶん回してけたたましい音とともに爆走しており、本気モードの走りがお楽しみいただけます。

ちなみにドルトムントから広島電鉄に譲渡されたのもこのGT8型デュワグカー(広島電鉄70型)ですが、大半のGT8が直角カルダン駆動なのに対し、あちらは吊り掛け駆動となっており、この車両とは走行音はおそらく異なっていたものと思います。

I recorded the sound of DUEWAG GT8 on RNV line 5.
As you know, DUEWAG GT8 is typical high-floor tramcar in former West Germany.
RNV line 5 is interurban tram with Mannheim – Heidelberg – Weinheim – Mannheim circular route.
I recorded in Seckenheim Bahnhof OEG -> Edingen Bahnhof. This is suburb between Mannheim and Heidelberg. The track is separated from road traffic. Trams can run high speed with shrill sound from motor in this section.

【本の紹介】都市交通の世界史

よくぞ出してくれた!というのが第一の感想です。
内容は、世界の大都市9つの都市交通(バス・路面電車・地下鉄・郊外電車、それから乗合馬車)の発達史と各都市ごとの特色を論じたものです。
取り上げられている都市は、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ベルリン、モスクワ、上海、ソウル、大阪、東京です。

●様々な性質の都市を取り上げる
世界に冠たる大都市であるNY・ロンドン・パリのほか、世界に類を見ない分断都市となったベルリン、資本主義国とはまったく異なる論理で都市計画が進められてきたモスクワ、かつて欧米列強の草刈り場であり近年は新興国の発展を象徴する上海、世界的大都市のひとつでありながら道路交通への依存度が高いソウル、そして大阪・東京と、それぞれ特色ある大都市を選んで取り上げており、偏りなく様々な性質の都市を見せようとする編者の意図が伝わってきます。

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