鉄道画家として少しずつ知名度を上げている、福島尚氏の絵画集です。
作者の地元である埼玉県の鉄道を中心に、主に関東と東北地方の鉄道を描いた絵画が58点収録されています。題材は作者にとって特に身近と思われる八高線と西武鉄道が多く、キハ35系や西武701系・401系、黒い貨車を連ねた貨物列車など地味な車両で、その他の題材でもEF57の荷物列車やED75の夜行急行など、華やかな素材はほとんど出てきません。しかし、だから絵から受ける印象が地味かというと全く逆で、列車の格好良さを最大限引き出した絵ばかりが掲載されています。
特に列車の力強さを強く印象付けられる絵が多く、彩度を抑えた濃い目の色遣いとはっきりとした線がそれを強調しています。例えば西武701系が所沢駅に停車している絵など、ごくありきたりだった場面のはずですが、それがなぜか格好良く見えてくるから不思議です。
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投稿者「ふくだはるき」のアーカイブ
【更新案内】福井鉄道F1000型の走行音を追加しました / [Update Imformation] Sound of Fukui railway’s F1000-series was added.
「トラムのひびき」サイトの福井鉄道のページに、F1000型の走行音を追加しました。
2016年に始まった福井鉄道・えちぜん鉄道直通運転の走行音を収録しました。急行運転で飛ばす超低床車というユニークなシチュエーションで、モーターもそれなりに唸った音を立てており、200型亡き後もやはり鉄道趣味者には楽しめる新たな一面の誕生になったと感じました。
是非お聞き下さい。
I updated “Tram-no-hibiki”. I added the sound of F1000-series of Fukui railway
【更新案内】高雄ライトレールの走行音を追加しました / [Update Imformation] Sounds of Kaohsiung LRT & bus were added.
「トラムのひびき」サイトに高雄LRTのページを追加しました。「【旅行記】高雄LRT訪問記」の記事にある訪問時に収録しておいたものです。収録時は僅か4電停のみの区間で運行しており、全区間走行音と言いつつもあまり聴き応えのある長さになっていませんでしたが、6月に延伸開業した凱旋中華~高雄展覽館間は訪問時すでにほぼ完成状態のように見え、ちょっと悔しい思いをさせられました。
またあわせて、高雄市内で運行されている電気バス(南台湾客運が中国BYD製「K9」を運行)の走行音も同じページに掲載しています。「トラムのひびき」は路面電車走行音のサイトなので、こちらは一応おまけの位置づけですが、長さは約40分あり「本体」の筈のLRT走行音より断然長いです。この電気バスの走行音は、未来を感じさせる独特の音になっていますので、LRT走行音とあわせて是非お聞き下さい。
I updated “Tram-no-hibiki”. I added the sound of Kaohsiung LRT and bus.
【旅行記】高雄LRT訪問記 2016年5月 / Visit of Kaohsiung LRT at May 2016
2016年のゴールデンウィーク、台湾を初めて訪問しました。
その際、台湾史上初の路面電車である高雄のLRTを訪問しましたので、その時の模様を記しておきたいと思います。
まずは凱旋中華電停から乗車します。世界で二番目の全線架線レスLRTで、軌道も緑化されていて、おまけに線路脇には並木が続いているため、路面電車の線路としては美しいものに仕上がっています。
電停もシンプルながらよくデザインされており、白い柱・屋根と透明な壁がスタイリッシュです。他の電停も基本的にこのデザインになっていますが、地下鉄との乗換駅である前鎮之星は非常に凝ったデザインになっていました。
発車案内表示機も一見何気ないデザインですが、電停全体のカラースキームと揃え、枠も薄くてかなり気を遣っていることがわかります。案内表示機だけでなく電停のパーツ一つ一つがこのようにトータルデザインされています。
それにしても、台湾って街中は看板があふれているし、建物の色や形も色々で都市景観には無頓着な土地柄という印象なのですが、その一方でこのLRTの駅や車両といい、地下鉄駅の出入り口といい、非常にデザインに気を遣っているところもあって、そのギャップが興味深いです。
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【本の紹介】乗り物にみるアジアの文化(澤 喜司郎著)
中国・タイ・韓国・ミャンマー・台湾・ベトナム・香港・シンガポールの交通を通じて、各国の文化的特徴を概観することを狙った本です。
いずれの国についても、どのような交通手段があるか紹介し、その交通手段の長所・短所と、それがどのような文化的背景から生まれたのかを解説する構成になっています。交通手段の解説については、都市間交通についても書かれていますが、ボリューム的には都市内交通に多くが割かれています。
●バラエティ豊かな各国の交通を紹介
各国の交通手段の紹介では、バラエティに富んだ交通手段の姿が楽しめ、非常に興味深いものになっています。
香港の二階建て路面電車、タイのトゥクトゥクなど、観光資源として有名な交通機関だけにとどまらず、日本の事業者のカラーでミャンマーを往来する日本製中古バス、台湾の道路を埋め尽くすスクーターなど、日本には見られない特徴的な交通事情も全編にわたって紹介されています。
また各国のユニークな交通機関を紹介するだけでなく、どの国にもある交通機関について各国ごとに差異がわかるのも楽しい点です。例えば自転車タクシーについて、タイのサムローは運転手の後ろに客席があって折りたたみ幌付き、ベトナムのシクロは前に座席があって屋根が常設、ベトナムのサイカーは多雨の気候なのになぜか屋根なしと、交通手段としての役目はほぼ同じなのにそれぞれ違った形態に発展していることが見て取れます。
また本書では行政による規制・政策についても言及されているのが特徴で、例えばシンガポールの地下鉄は禁煙・飲食禁止・駅をぶらぶら歩き回るのも禁止と厳しい規則があるそうですが、これについて「シンガポールは多民族・多宗教国家で、狭い国土に価値観や生活習慣、公衆道徳レベルの異なる多くの国民や旅行者、駐在員、移民や出稼ぎ労働者もいるため、民族や宗教などにとらわれない法律を制定して等しく遵守を求め、それによって治安と秩序を維持し、迷惑行為を抑制し、街の衛生と景観を保とうとしているからです」と記述されているなど、ただの旅行ではわからないであろう事情もわかって興味深いものです。
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【本の紹介】路面電車発展史(大賀寿郎著)
●他書にない内容が盛りだくさん
鉄道趣味誌ではあまり名前を見かけない著者、鉄道書の実績が決して多いとは言えない出版社から出る本と言うことで、正直なところ名前に見合った内容になっているのか不安に思いながらの購入だったのですが、不安は否定されました。
従来の鉄道書では詳細な技術や価値について語られる機会の少なかった、PCCカーとタトラカーを軸に、日本の路面電車との関係も記載した本で、他の本にない内容が盛りだくさんです。
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【更新案内】都電8500型の走行音を追加しました / [Update Imformation] Sound of Tokyo metropolitan transport bureau’s type 8500 was added.
「トラムのひびき」サイトの都電のページに、8500型の走行音を追加しました。
2014年に録音しておいたものです。現在は制御装置の交換により走行音は8800型とほぼ同じになっていますが、この録音は制御装置交換前の走行音です。他都市の車両ではあまり聞かれない独特の走行音がお楽しみ頂けます。
是非お聞き下さい。
I updated “Tram-no-hibiki”. I added the sound of type 8500 of Toden (Tram in Tokyo) Arakawa line.
【本の紹介】世界の鉄道紀行
●タイトルは平凡、内容は非凡
『世界の鉄道紀行』とは何とも直球ストレートなタイトルですが、「世界の」という言葉に偽りはなく、本当に世界各地の鉄道乗車記が収められています。中国や台湾といった近場から、タイ、オーストラリア、ハワイなど普通の人の旅行先としても人気の場所もあれば、キルギス、ボリビア、ザンビアなど、普通の日本人旅行者はめったに行かないであろう国々まで、バラエティに富んでいます。おそらくは意図的にバランスをとるように選ばれたのでしょう。
列車の性格もそれこそピンからキリまでバラエティに富んだものが選ばれており、「ピン」の方ではマチュピチュに向かう観光列車や、ハワイの蒸機保存鉄道、ザンビアのクルーズトレインといった列車に乗車している一方で、「キリ」の方もまた色々掲載されています。キリ具合も列車によって濃淡ありますが、本書の中でもっとも激しいキリ具合と言えそうなのは、カンボジアの混合列車と、ボリビアのレールバスでしょうか。
●日本では想像もつかない列車の乗車記も
カンボジアの列車乗車記では、外販が錆びつき窓ガラスがないなどは序の口で、「内側壁と天井板は半分以上剥がされて木の骨組みが露出。木製の座席は一部が床下に陥没している」といった有様の強烈なボロ客車の様子が記されています。とはいえ、客車が想像を絶するボロだったから散々な旅行だったかといえばそうではなく、筆者が「乗ってよかった」と本心から思っているであろう体験をするのですが。
またボリビアでは、列車に乗ろうと思ってホームに行ったら、それはレールバス、というよりほぼバスでで唖然としたという話も書かれています。「レールバス」といっても、日本で想像するような第三セクター鉄道や南部縦貫鉄道のようなもではなく、ボンネットバスのタイヤを取り払って車輪を付けたような、正真正銘のバスがホームに待っていたなどと書かれており、「『列車』と呼ぶにはあまりに珍妙な姿を見た瞬間、私は唖然とした」という一文にも納得させられる描写です。 続きを読む
【音】東武スカイツリーライン 下り快速列車車内放送 / [Sound] Announcemant in northbound rapid service train of Tobu railway.
快速 浅草発東武日光・会津田島行き車内放送 北千住発車後 /
Announcement in rapid service train ftom Asakura to Tobu Nikko & Aizu-Tajima
在来線長距離輸送華やかなりし時代の面影を残す貴重な列車として、ファンの注目を浴びる東武日光線快速列車の車内放送を収録しました。
収録したのは浅草を7:10に出る東武日光・会津田島行きで、北千住を発車後に行われていたアナウンスです。
放送は種別・行先から始まり、その後は停車駅と列車分割の案内を行った後、主要駅の到着時刻の案内が延々と続きます。
この放送の長さは実に4分半におよび、スピーカーからは日光、川治温泉、会津と言った遠隔地の駅名が次々流れて、落ち着いた口調と相まって実に旅情を誘うものになっています。
Rapid service train on Tobu Skytree line & Nikko line is popular from railway enthusiast. Because it’s very like a old-fasioned Japanese intercity train.
I recorded the announcement of the rapid service train from Asakusa to Tobu-Nikko and Aizu-Tajima. After leaving Kita-Senju, long announcement was started. Destinations, stops, arrival time, and train composition was announced by conductor.
【本の紹介】Transit Maps of the World
その名の通り、世界中の路線図を集めた本です。対象としては地下鉄路線図が主で、地下鉄を有する世界のありとあらゆる都市の路線図が一冊に集められています。また一般的な地下鉄でなくても、一部に地下鉄っぽい区間がある路線――ドイツ各地のシュタットバーンや、広島のアストラムラインなど――も取り上げられています。
本書の構成は5章に分かれており、基本的には路線網の大きな都市から小さい都市へという流れです。とはいえ、単純に路線網の大きい順かというとそうでもなく、例えば最初の章ではベルリン、シカゴ、ロンドン、マドリード、モスクワ、ニューヨーク、パリ、東京が取り上げられており、大規模路線網を持ちつつも歴史の浅いソウル、メキシコシティなどは後ろの章へ回っています。つまり、路線網が大きくて、かつ歴史の長い都市のほうが取り上げるべきネタがいろいろあって面白いから、最初の方に持ってきたということなのでしょう。
事実、これらの都市の路線図は興味深いものが多数掲載されています。例えばベルリンでは東西分断時代の路線図が掲載されており、西ベルリン発行の路線図では東側の路線も描かれているのに、東ベルリン発行の路線図では西ベルリンの路線は完全に無視されていることがあったりします。またモスクワの路線図では、古い時代の路線図では実際の路線の形状にある程度忠実に描いていて、地上のランドマークも載っていたりしたのに、ある時代を境目に突然単純化され、環状線は真円で、放射線はほぼ直線で描かれるようになるなど、極端なまでの変化を起こしていたりします。
ロンドンの頁では、現代的路線図の元祖として有名なハリー・ベック作成の路線図が掲載されているのはもちろんのこと、その原案となったスケッチまでも収録されています。
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