【旅行記】ビーミッシュミュージアム訪問記 2017年8月(Part 2) / Visit in Beamish Museum (Part 2)

●展望車が走る鉄道線
ビーミッシュタウンの外れには、ここにもまた線路が敷かれています。こちらは先ほどのロコモーション号からはだいぶ時代が下って、ビーミッシュタウンとだいたい同じくらいの時代設定のようです。機関車もストラクチャーも「きかんしゃトーマス」で見たようなものになり、とっつきやすい風景です。

良い雰囲気の駅構内。

腕木式信号機、側線、機関庫、留置された貨車……良い雰囲気の駅構内。

ここでも例に漏れず、単に昔の機関車が走っているだけでなく、信号扱所の建物に駅舎に腕木式信号機に留置された貨車にと、周辺の光景まで含めて保存されています。それどころか線路脇の野立て看板までそれらしいものになっているのには脱帽です。

信号扱所の脇を走る列車。

信号扱所の脇を走る列車。

 

野立て看板までかつての英国風。

野立て看板までかつての英国風。

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【旅行記】ビーミッシュミュージアム訪問記 2017年8月(Part 1) / Visit in Beamish Museum (Part 1)

先日、子供と一緒に英国有数の野外博物館であるビーミッシュミュージアムを訪問してきましたので、その際の様子をお伝えします。
広大な敷地にかつての英国の風景をそのまま再現していることが特長の博物館で交通専門ではありませんが、交通関係も非常に充実しており鉄道ファンも楽しめること請け合いです。
入場料はそこそこ高いですが、そのかわり交通関係は全て乗り放題なので鉄道ファンならモトは取れるのではないでしょうか。

●到着まで

ビーミッシュミュージアムでビーミッシュミュージアム正門前で乗客を降ろし、発車していくChester-le-streetからのバス。

ビーミッシュミュージアム正門前で乗客を降ろし、発車していくChester-le-streetからのバス。

今回の旅行ではマンチェスターに宿を取っており、色々な都合があってマンチェスターからの日帰り訪問を行いました(片道3時間強かかりますので、お勧めはしません)。
ビーミッシュミュージアムはいずれの鉄道駅からも遠く、バス利用になりますが、最もバス乗車の距離が短く本数も多いのがChester-le-street(チェスター・ル・ストリート)からになります。
Chester-le-streetからのバスは、駅から10分ほど歩いた市街地のバスターミナルから発車します。運転士に目的地を言って往復きっぷを求めると、ほどなく発車です。
ちなみにビーミッシュミュージアムへのバスですが、全てgoogleマップで経路や時刻が検索できましたので、今回は大いに活用しました。便利な時代になったものです。

●入場していきなりクラシックバスの登場
開園してまもなくの10時過ぎに到着しましたが、平日にもかかわらずチケット売り場は大行列で、購入までに20分を要しました。とはいえ、こういう博物館が平日でも盛況というのは心強いものです。日本で言えば明治村に大行列が出来ているようなものですから。
園内に入るとすぐに園内を循環するバスと路面電車の停留所があります。まずは早速古めかしいながらピカピカのコンディションに保たれた単車が2両、双方向から登場し、さらに後を追ってクラシックな二階建てバスが続行で現れ、実に4両の古典的な乗り物が一気に乗り場を賑わせます。入園するや否やこんな光景を目にして、一気に興奮します。

最初に路面電車が登場。

エントランスの電停に路面電車が登場。

 

続いて反対側からダブルデッカーの電車とクラシックバスが一気に到着。

続いて反対側からダブルデッカーの電車とクラシックバスが一気に到着。

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【本の紹介】Transit Maps of the World

その名の通り、世界中の路線図を集めた本です。対象としては地下鉄路線図が主で、地下鉄を有する世界のありとあらゆる都市の路線図が一冊に集められています。また一般的な地下鉄でなくても、一部に地下鉄っぽい区間がある路線――ドイツ各地のシュタットバーンや、広島のアストラムラインなど――も取り上げられています。

本書の構成は5章に分かれており、基本的には路線網の大きな都市から小さい都市へという流れです。とはいえ、単純に路線網の大きい順かというとそうでもなく、例えば最初の章ではベルリン、シカゴ、ロンドン、マドリード、モスクワ、ニューヨーク、パリ、東京が取り上げられており、大規模路線網を持ちつつも歴史の浅いソウル、メキシコシティなどは後ろの章へ回っています。つまり、路線網が大きくて、かつ歴史の長い都市のほうが取り上げるべきネタがいろいろあって面白いから、最初の方に持ってきたということなのでしょう。

事実、これらの都市の路線図は興味深いものが多数掲載されています。例えばベルリンでは東西分断時代の路線図が掲載されており、西ベルリン発行の路線図では東側の路線も描かれているのに、東ベルリン発行の路線図では西ベルリンの路線は完全に無視されていることがあったりします。またモスクワの路線図では、古い時代の路線図では実際の路線の形状にある程度忠実に描いていて、地上のランドマークも載っていたりしたのに、ある時代を境目に突然単純化され、環状線は真円で、放射線はほぼ直線で描かれるようになるなど、極端なまでの変化を起こしていたりします。
ロンドンの頁では、現代的路線図の元祖として有名なハリー・ベック作成の路線図が掲載されているのはもちろんのこと、その原案となったスケッチまでも収録されています。
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【本の紹介】世界の路面電車ビジュアル図鑑

●世界中を網羅した驚くべきボリューム
まさに圧倒的なボリュームの本です。世界50カ国400以上の都市の路面電車を紹介するという、おそらくは前代未聞と思われる企画で、これを筆者一人で訪問したというのですから驚くほかありません。
日本で紹介される海外の路面電車というと、LRT先進地域というべき西欧や北アメリカか、日本人でも身近な中国などの電車が多いですが、本書はそれらの国々は当然のこと、旧ソ連やトルコ、中東欧など、馴染みの薄い国々の路面電車も扱われています。
ロシアのマイナー都市や、ウクライナ、ブルガリア、カザフスタンなど、和書はもちろんネット上でも情報の少ない国・都市の電車が多数登場しており(流石に北朝鮮は扱われていませんが……)、これだけ情報の入手が容易になった昨今でも、まだまだ知らない電車がこんなにあるのか!と新鮮な気持ちにさせられます。
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【本の紹介】都市交通の世界史

よくぞ出してくれた!というのが第一の感想です。
内容は、世界の大都市9つの都市交通(バス・路面電車・地下鉄・郊外電車、それから乗合馬車)の発達史と各都市ごとの特色を論じたものです。
取り上げられている都市は、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ベルリン、モスクワ、上海、ソウル、大阪、東京です。

●様々な性質の都市を取り上げる
世界に冠たる大都市であるNY・ロンドン・パリのほか、世界に類を見ない分断都市となったベルリン、資本主義国とはまったく異なる論理で都市計画が進められてきたモスクワ、かつて欧米列強の草刈り場であり近年は新興国の発展を象徴する上海、世界的大都市のひとつでありながら道路交通への依存度が高いソウル、そして大阪・東京と、それぞれ特色ある大都市を選んで取り上げており、偏りなく様々な性質の都市を見せようとする編者の意図が伝わってきます。

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