【本の紹介】路面電車発展史(大賀寿郎著)

●他書にない内容が盛りだくさん
鉄道趣味誌ではあまり名前を見かけない著者、鉄道書の実績が決して多いとは言えない出版社から出る本と言うことで、正直なところ名前に見合った内容になっているのか不安に思いながらの購入だったのですが、不安は否定されました。
従来の鉄道書では詳細な技術や価値について語られる機会の少なかった、PCCカーとタトラカーを軸に、日本の路面電車との関係も記載した本で、他の本にない内容が盛りだくさんです。
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【本の紹介】Transit Maps of the World

その名の通り、世界中の路線図を集めた本です。対象としては地下鉄路線図が主で、地下鉄を有する世界のありとあらゆる都市の路線図が一冊に集められています。また一般的な地下鉄でなくても、一部に地下鉄っぽい区間がある路線――ドイツ各地のシュタットバーンや、広島のアストラムラインなど――も取り上げられています。

本書の構成は5章に分かれており、基本的には路線網の大きな都市から小さい都市へという流れです。とはいえ、単純に路線網の大きい順かというとそうでもなく、例えば最初の章ではベルリン、シカゴ、ロンドン、マドリード、モスクワ、ニューヨーク、パリ、東京が取り上げられており、大規模路線網を持ちつつも歴史の浅いソウル、メキシコシティなどは後ろの章へ回っています。つまり、路線網が大きくて、かつ歴史の長い都市のほうが取り上げるべきネタがいろいろあって面白いから、最初の方に持ってきたということなのでしょう。

事実、これらの都市の路線図は興味深いものが多数掲載されています。例えばベルリンでは東西分断時代の路線図が掲載されており、西ベルリン発行の路線図では東側の路線も描かれているのに、東ベルリン発行の路線図では西ベルリンの路線は完全に無視されていることがあったりします。またモスクワの路線図では、古い時代の路線図では実際の路線の形状にある程度忠実に描いていて、地上のランドマークも載っていたりしたのに、ある時代を境目に突然単純化され、環状線は真円で、放射線はほぼ直線で描かれるようになるなど、極端なまでの変化を起こしていたりします。
ロンドンの頁では、現代的路線図の元祖として有名なハリー・ベック作成の路線図が掲載されているのはもちろんのこと、その原案となったスケッチまでも収録されています。
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【本の紹介】世界の路面電車ビジュアル図鑑

●世界中を網羅した驚くべきボリューム
まさに圧倒的なボリュームの本です。世界50カ国400以上の都市の路面電車を紹介するという、おそらくは前代未聞と思われる企画で、これを筆者一人で訪問したというのですから驚くほかありません。
日本で紹介される海外の路面電車というと、LRT先進地域というべき西欧や北アメリカか、日本人でも身近な中国などの電車が多いですが、本書はそれらの国々は当然のこと、旧ソ連やトルコ、中東欧など、馴染みの薄い国々の路面電車も扱われています。
ロシアのマイナー都市や、ウクライナ、ブルガリア、カザフスタンなど、和書はもちろんネット上でも情報の少ない国・都市の電車が多数登場しており(流石に北朝鮮は扱われていませんが……)、これだけ情報の入手が容易になった昨今でも、まだまだ知らない電車がこんなにあるのか!と新鮮な気持ちにさせられます。
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【本の紹介】都市交通の世界史

よくぞ出してくれた!というのが第一の感想です。
内容は、世界の大都市9つの都市交通(バス・路面電車・地下鉄・郊外電車、それから乗合馬車)の発達史と各都市ごとの特色を論じたものです。
取り上げられている都市は、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ベルリン、モスクワ、上海、ソウル、大阪、東京です。

●様々な性質の都市を取り上げる
世界に冠たる大都市であるNY・ロンドン・パリのほか、世界に類を見ない分断都市となったベルリン、資本主義国とはまったく異なる論理で都市計画が進められてきたモスクワ、かつて欧米列強の草刈り場であり近年は新興国の発展を象徴する上海、世界的大都市のひとつでありながら道路交通への依存度が高いソウル、そして大阪・東京と、それぞれ特色ある大都市を選んで取り上げており、偏りなく様々な性質の都市を見せようとする編者の意図が伝わってきます。

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