現在の新京成電鉄は、インバーター制御のステンレスカーが多数在籍する近代的な車両陣となっていて、大手私鉄に比肩するものとなっていますが、昭和60年代までは吊り掛け車を8両も連ねたいささか垢抜けない色の列車が、モーター音も高らかに走っていました。
そして昭和20年代ともなれば、畑や雑木林の中を木造電車が走っているという、現在の姿からは想像もできない、とんでもない田舎電車だったようです。
本書では、そんな時代の新京成電鉄の吊り掛け電車を、ベテランファンが開業以来の全車種に渡って紹介しています。
800型・8000型あたりからの新京成の電車は、様々な文献で紹介されていますが、創業が新しい割には旧型電車を扱った文献は少なく(皆無ではないですが入手性に難があったり……)、網羅的に解説された本書はありがたい存在です。