【車両紹介】ワルシャワ市電の車両たち2011:PESA 120N/ Rolling stock of Warsaw tram in 2011 : PESA 120N

Stare Miasto電停を発車する120Na / A 120Na leaves Stare Miasto stop.

Stare Miasto電停を発車する120Na / A 120Na leaves Stare Miasto stop.

ワルシャワ市電初の100%低床車です。
2007年に導入されたグループを120N、続いて2009年から導入されているグループを120Naと称します。120Naの中には、両運転台となっている車両があり、それは120NaDUOと呼ばれています。
いずれも全長約30mの5連接車で、メーカーはコンスタルからPESA(ペサ)になりました。

120N。120Naとは前面スタイル等が異なる。Most Poniatowskiegoにて。 / A 120N at Most Poniatowskiego.

120N。120Naとは前面スタイル等が異なる。Most Poniatowskiegoにて。 / A 120N at Most Poniatowskiego.

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【車両紹介】ワルシャワ市電の車両たち2011:FPS 123N/ Rolling stock of Warsaw tram in 2011 : FPS 123N

161914_ZTM(Most poniatowskiego)トリミングFPS 123N。Most Poniastowskiego電停付近にて。
A FPS 123N at Most Poniatowskiego.

 2006-2007年に導入された車両です。車体の全体的な形状やドア配置にはコンスタル105Naの面影があるように思えるのですが、あまりはっきりした情報がないものの、どうもコンスタル105Naの更新車ではなく、新造のようです。すでに部分低床車(コンスタル116N)も登場していた時期に、なぜ高床車を投入したのか、意図は謎ですが。
 製造を行ったのはH. Cegielski – Poznań社で、ワルシャワ市電へはこの形式のみ納入したメーカーです。以前は国鉄(PKP)向けの機関車なども納入していましたが、現在は産業用のエンジンなどの生産が中心のようです。
 外観はコンスタル105Nを近代化したようなイメージで、車内もオフホワイト基調の壁・天井に埋め込み型の明るい照明、布張りのシートなど大幅に進化しています。自動放送・車内案内表示装置もあるなど、床の高さ以外は現代的な水準となっています。
 制御方式はサイリスタチョッパ制御で、走行音はコンスタル105N2kとほぼ同じです。在籍数は30両にとどまっています。

【車両紹介】ワルシャワ市電の車両たち2011:コンスタル116N/ Rolling stock of Warsaw tram in 2011 : Konstal 116N

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コンスタル116Na。Most Poniatowskiegoにて。
A Konstal 116Na at Most Poniatowskiego.

1998年から製造された部分低床車。日本では部分低床車の評判はいまいちですが、ワルシャワ市電は信用乗車方式となっており、運賃支払いのため車内を移動する必要がないので、部分低床車でも十分に機能を果たしています。
116Nは、その中でさらに116Nと116Naに形式が分かれており、116Naは116Nに比べるとモーター出力がアップしている(50kW×4から75kW×4へ)ことや、誘導電動機を採用していることが相違点です。在籍車のほとんどは116Naで、116Nは1編成のみです。
全長24mの3連接車で、この後導入されたPESA 120Nが30m級なのに比べるとやや小型ですが、複数編成を連結しての運転は行っていません。
この形式の前には、112Nという全長20mの2連接車も製造されましたが、1編成のみの導入にとどまっていますので、試験的な存在のようです。

最前部と最後部の台車、計4軸が駆動軸となっています。2000年までに約30編成が導入されており、訪問時は目抜き通りであるイェロゾリムスキェ通りを通る路線を中心に運用されていました。

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【車両紹介】ワルシャワ市電の車両たち2011:コンスタル105Na/ Rolling stock of Warsaw tram in 2011 : Konstal 105Na

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コンスタル105Na。ヘッドライトケースは原型の四角いもの。ドアの下半分には窓がない。現地ファンサイトによると、これはどうも後天的な改造によるものの模様。
A 105Na with square headlight.

ワルシャワ市電の最大勢力です。
いわゆる「角タトラ」(タトラT5・T6シリーズ)に酷似した外観ですが、ポーランドの国産車となっています。1979年から1992年までの長きにわたって、約2000両(メーターゲージ路線向けの、805Na型も含んだ数)が生産され、ポーランドのほとんどの市電において、その姿を多数目にすることができます。
この車種は、前回ご紹介した13Nを基本として、電機品の改良・車体デザインの変更を行ったものです。特に車体では、デザインの変更とともにドア数の増加が印象的です。客用扉は4扉となり、一面ドアだらけといった風情の外観になっています。また13Nのドアが4枚折戸だったのに対し、105Naはグライトスライド扉となっています。
車内は一人掛けの前向きシートが並び、天井には直方体のカバーに覆われた蛍光灯が並びます。13Nと同じく実用一点張りで全く飾り気のないデザインです。

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105Naの車内。下回りの更新を受けた「105N1k」と称するタイプのもので、車内はあまり手を加えられていないが、電光案内装置の設置が行われている。
Interior of 105Na. Passenger information display is added.

13Nがもっぱら2両連結で運行されているのに対し、105Naは休日などに一部の系統で単車運転が行われています。ワルシャワでは、市電の路線のあるところどこでも見かけることができました。
 コンスタル105Naはなにしろ両数が多いうえ、共産主義政権の崩壊後、経済環境やら技術水準やら生活水準やらが激変したこともあって、多種多様なバリエーションが生じていおり、趣味的にも大変興味深いものとなっています。
 その全容を短い滞在で把握することは出来ませんでしたが、以下にバリエーションの数々をご紹介します。

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【車両紹介】ワルシャワ市電の車両たち2011:コンスタル13N/ Rolling stock of Warsaw tram in 2011 : Konstal 13N

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コンスタル13N。ヘッドライトが角形のものに換装されている。Stare Miasto電停にて。
Konstal 13N at Stare Miasto. Headlight was changed to square lamp.

1959年から製造された車両で、アメリカで生まれたPCCカーの流れを汲む、高性能路面電車初期の車両です。これまでの車両は、戦前からの延長線上にある吊り掛け駆動の四輪単車で、電動車が1~数両のトレーラーを牽くスタイルだったのに対し、コンスタル13Nではカルダン駆動で大型車体のボギー車と、格段に近代化がなされました。
四輪単車では、モーターが60kW程度×2の電動車がトレーラーまで牽引していたのに対し、コンスタル13Nでは41.5kW×4で、しかもトレーラーはなく連結運転時も全電動車編成となりますので、性能面でも大きく向上しています。実際乗車してみるとたいへんな高加減速車で、立っている時は手すりに掴まらないと確実によろけてしまうほどでした。

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コンスタル13Nの後部。先頭部とはかなり印象が異なる造形。Rondo ONZにて。
A tail of Konstal 13N at Rondo ONZ.

チェコスロバキアで生産された、所謂「タトラカー」の元祖であるタトラT1型と類似した車両です。タトラT1は2両だけがワルシャワにも投入され、1956年から1968年まで使用されました。ポーランドの他都市でも、同世代の車両は2011年時点でほぼ淘汰されており、まとまった数で残っていたワルシャワは珍しい存在です。
ちなみにワルシャワ以外の都市では、単車タイプの13Nではなく、2両連接車タイプのコンスタル102N・102Naが多く投入されていました。
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【車両紹介】ワルシャワ市電の車両たち2011:概説/ Rolling stock of Warsaw tram in 2011 : Overview

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市内中心部、文化科学宮殿を背景に走るコンスタル13N。Centrum電停付近にて撮影。
Konstal 13N runs in Centrum. Buckground is Palace of Culture and Science

2011年、ワルシャワを訪問しました。ここでは「トラムのひびき」サイトの補足として、ワルシャワ市電の車両について解説します。まずは概説から。
基本的に2011年1月現在の情報ですが、車両数の情報については当時の情報が分からないため、2013年2月現在の情報です。情報が混在してわかりにくいかと思いますが、ご勘弁下さい。

2011年現在、ワルシャワ市電の車両は大きく分けて5種類でした。コンスタル13N、コンスタル105Na、FPS 123N、コンスタル116Na、PESA 120Nです。
うちコンスタル13Nは、2012年12月に全車営業から退いています。

コンスタル13N、コンスタル105Na、FPS 123Nは全長13m級の単車、コンスタル116Naは全長24m、PESA120Nは全長30m級の連接車です。単車は2両連結で運行されている場合がほとんど(休日などは一部系統で単行運転)で、結果的にコンスタル116Naだけが若干輸送力が小さいことになります。
総車両数は約750両(単車は一台を1両、連接車は一編成を1両として数えた場合。両数のデータだけは2013年2月現在です)で、最大勢力はコンスタル105Naとその改造車ですが、超低床車であるPESA 120Nが急速に勢力を拡大しており、2013年2月現在で160編成あります。最も少ないのはコンスタル116Nの約30編成・FPS 123Nの30両です。
両数のデータは、訪問時(2011年現在)のものが得られなかったため、コンスタル13Nの在籍数は不明です。2011年の訪問時は、コンスタル116Nよりも頻繁に見かけましたので、晩年まで結構な両数が残っていたのでしょう。
ほとんどの車両は片運転台で、乗降扉も進行方向右側の側面にのみ存在しますが、一部のPESA 120N(2013年2月現在、6編成のみ)では両運転台・両側ドアとなっています。

塗装は全車とも黄色/赤色のツートンカラーで、ワルシャワ市旗と同色です。市内バスも同じ色に揃えられています。
追って、各車種ごとの詳細な解説をアップしていく予定です。

【本の紹介】URBAN RAIL DOWN UNDER(オセアニアの都市鉄道)

 ダウンアンダー、つまり(欧州から見た)地球の裏側、すなわちオーストラリアとニュージーランドの都市鉄道にスポットを当てた本です。
 前回ご紹介した本と同じロバート・シュヴァンドル氏によるもので、紹介されている都市はオーストラリアのパース、アデレード、メルボルン、シドニー、ブリスベン、ゴールドコーストと、ニュージーランドのオークランド、ウエリントン、クライストチャーチです。
 貨物はともかく旅客輸送の分野においては、鉄道が実用的な交通機関の体をなしていないイメージすらある両国ですが、特にオーストラリアにおいては都市鉄道が充実しており、またニュージーランドにおいても、都市交通として無視できない質と量で近距離鉄道が運行されていることが、本書によりわかります。

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【本の紹介】U-Bahn, S-Bahn & Tram in Berlin(ベルリンの地下鉄・近郊電車・市電)

 「Urban Rail in Germany’s capital city」との副題がある通り、ドイツの首都ベルリンにおける、地下鉄(Uバーン)・近郊電車(Sバーン)・市電(トラム)の路線・運行形態・歴史・車両を解説した本です。
 ベルリンと言えば、冷戦時代にはベルリンの壁により隔てられていた、世界にも例を見ない分断都市として有名です。そのため、旧西ベルリンと旧東ベルリンでは、市電の路線の密度が全く違ったりしています。またSバーンには、同時期に西と東で開発された別々の車種が、今は同じ線路の上を走っているといったこともあります。
 一方戦前のベルリンは、欧州有数の産業・文化都市としての繁栄を謳歌したことから、UバーンやSバーンは相当規模の路線網を擁していました。現在でも当時の意匠を残した駅施設を多く目にすることができます。
 このようにベルリンの鉄道にはいろいろ見所があり、書籍も多数発売されてきているのですが、いかんせんほとんどがドイツ語で、日本語話者には敷居の高いものでした。この本はドイツ語・英語の併記になっており、英語テキストの方では難解な言い回しもあまり使われていないので、比較的内容を理解しやすいです。

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【旅行】大連と長春へ路面電車に乗りに/ Trip to Dalian and Changchun [Part 3]

長春を約10分遅れて発車した列車は、大連駅に20分ほど遅れて7:50ごろに到着。3段寝台とはいえ日本や欧州のそれより高さに余裕があり、日本の寝台列車のように、発車時の「ガッシャーン」もなく、それなりによく眠れた旅でした。

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終着大連駅に到着したK7306次/ K7306 sleeper train at Dalian terminal.

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【旅行】大連と長春へ路面電車に乗りに/ Trip to Dalian and Changchun [Part 2]

2日目は朝6時前に起床、宿の朝食は権利放棄し、さらに今夜の宿泊も権利放棄して、長春市電へ乗りに行きます。
昨日と同じく開発区行のバスで1時間弱かけて大連北駅へ。やはりバス停以外から乗る人がいますが、乗ってくる地点は昨日と似通っており、どうやら「闇バス停」的なものになっているようです。
ともあれ、下見のおかげで不安もなく大連北駅に到着。何の注意喚起もなくマンホールの穴がぽっかり開いている(中国では時々マンホールの蓋が盗まれるらしいですね)ことにビビりつつ、駅に入ります。

20121221_081102_中国国鉄(大連北駅)_トリミング.jpg
大連北駅の発車案内板。7:59発の列車に乗ります。/ I take 7:59 train.

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