【本の紹介】福島尚鉄道画集 線路は続くよ


 鉄道画家として少しずつ知名度を上げている、福島尚氏の絵画集です。
 作者の地元である埼玉県の鉄道を中心に、主に関東と東北地方の鉄道を描いた絵画が58点収録されています。題材は作者にとって特に身近と思われる八高線と西武鉄道が多く、キハ35系や西武701系・401系、黒い貨車を連ねた貨物列車など地味な車両で、その他の題材でもEF57の荷物列車やED75の夜行急行など、華やかな素材はほとんど出てきません。しかし、だから絵から受ける印象が地味かというと全く逆で、列車の格好良さを最大限引き出した絵ばかりが掲載されています。
 特に列車の力強さを強く印象付けられる絵が多く、彩度を抑えた濃い目の色遣いとはっきりとした線がそれを強調しています。例えば西武701系が所沢駅に停車している絵など、ごくありきたりだった場面のはずですが、それがなぜか格好良く見えてくるから不思議です。
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