【車両紹介】ワルシャワ市電の車両たち2011:コンスタル13N/ Rolling stock of Warsaw tram in 2011 : Konstal 13N

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コンスタル13N。ヘッドライトが角形のものに換装されている。Stare Miasto電停にて。
Konstal 13N at Stare Miasto. Headlight was changed to square lamp.

1959年から製造された車両で、アメリカで生まれたPCCカーの流れを汲む、高性能路面電車初期の車両です。これまでの車両は、戦前からの延長線上にある吊り掛け駆動の四輪単車で、電動車が1~数両のトレーラーを牽くスタイルだったのに対し、コンスタル13Nではカルダン駆動で大型車体のボギー車と、格段に近代化がなされました。
四輪単車では、モーターが60kW程度×2の電動車がトレーラーまで牽引していたのに対し、コンスタル13Nでは41.5kW×4で、しかもトレーラーはなく連結運転時も全電動車編成となりますので、性能面でも大きく向上しています。実際乗車してみるとたいへんな高加減速車で、立っている時は手すりに掴まらないと確実によろけてしまうほどでした。

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コンスタル13Nの後部。先頭部とはかなり印象が異なる造形。Rondo ONZにて。
A tail of Konstal 13N at Rondo ONZ.

チェコスロバキアで生産された、所謂「タトラカー」の元祖であるタトラT1型と類似した車両です。タトラT1は2両だけがワルシャワにも投入され、1956年から1968年まで使用されました。ポーランドの他都市でも、同世代の車両は2011年時点でほぼ淘汰されており、まとまった数で残っていたワルシャワは珍しい存在です。
ちなみにワルシャワ以外の都市では、単車タイプの13Nではなく、2両連接車タイプのコンスタル102N・102Naが多く投入されていました。
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【音】近鉄内部・八王子線 モ260型/ [Sound] Kintetsu Utsube line, One of three Japanese 762mm gauge railways.

[audio:http://tramsound.sakura.ne.jp/sound/blog/201304Kintetsu_utsube.mp3|animation=no]
【音】近鉄内部・八王子線 モ260型 西日野→近鉄四日市
[Sound] Kintetsu Utsube line, type MO260, Nishi-hino -> Kintetsu-Yokkaichi

20130329_161919_近鉄(日永)_02_ 20130329_164710_近鉄(日永)_03_edit上:分岐駅日永を発車する四日市行き列車。
下:日永駅に咲く桜。来年もこの光景は見られるでしょうか。
Above:Hinaga station. This is junction of Utsube line and Hachioji branch line.
Below:Cherry blossom at Hinaga station.

最近存廃が取りざたされている、近鉄内部・八王子線を訪問してきました。こちらはその際の録音になります。
西日野発近鉄四日市行きで収録しました。一応全区間走行音ではありますが、所要時間は僅かに9分と極めて短いものです。
収録したのは学校が春休みとなっている平日の昼間ですが、それでも四日市到着時にはおよそ20人の乗客となっており、僅か3駅だけ走る列車の割にはよく乗っている方だと思います。
皆様ご存じの通り、本路線の電動車は全車吊り掛け車ですので、この録音でもモーター音がお楽しみいただけるほか、ロングレール化も進んでいないため賑やかなジョイント音も聞くことができます。

Utsube line is one of three 762mm gauge railways in Japan.
Utsube line is 5.7km line with 1.3km branch line(Hachioji line), operated by Kintetsu corporation.
This is suburban railway in Yokkaichi city(Population is approx. 300000) with approx. 10000 passengers per day.

I recorded the sound of Utsube line in March 2013.
I recorded type MO260 EMU with nose-suspension drive. Type MO260 was made in 1982-1983. All motor cars in Utsube line is unified by type MO260. Another old motor cars were modified to trailer.

Unfortunately, replacement plan is discussed due to few income(operation loss is approx. 300000000 yen per year) and decrease of passenger density. However, the discussion is having a rough road ahead. Kintetsu hopes replace Utsube line to busway. But Yokkaichi city says “Don’t replace important public transport, Utsube line. But We don’t have a money for Utsube line”.

【本の紹介】昭和時代の新京成電車(RMライブラリー)

現在の新京成電鉄は、インバーター制御のステンレスカーが多数在籍する近代的な車両陣となっていて、大手私鉄に比肩するものとなっていますが、昭和60年代までは吊り掛け車を8両も連ねたいささか垢抜けない色の列車が、モーター音も高らかに走っていました。
そして昭和20年代ともなれば、畑や雑木林の中を木造電車が走っているという、現在の姿からは想像もできない、とんでもない田舎電車だったようです。
本書では、そんな時代の新京成電鉄の吊り掛け電車を、ベテランファンが開業以来の全車種に渡って紹介しています。

800型・8000型あたりからの新京成の電車は、様々な文献で紹介されていますが、創業が新しい割には旧型電車を扱った文献は少なく(皆無ではないですが入手性に難があったり……)、網羅的に解説された本書はありがたい存在です。

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【車両紹介】ワルシャワ市電の車両たち2011:概説/ Rolling stock of Warsaw tram in 2011 : Overview

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市内中心部、文化科学宮殿を背景に走るコンスタル13N。Centrum電停付近にて撮影。
Konstal 13N runs in Centrum. Buckground is Palace of Culture and Science

2011年、ワルシャワを訪問しました。ここでは「トラムのひびき」サイトの補足として、ワルシャワ市電の車両について解説します。まずは概説から。
基本的に2011年1月現在の情報ですが、車両数の情報については当時の情報が分からないため、2013年2月現在の情報です。情報が混在してわかりにくいかと思いますが、ご勘弁下さい。

2011年現在、ワルシャワ市電の車両は大きく分けて5種類でした。コンスタル13N、コンスタル105Na、FPS 123N、コンスタル116Na、PESA 120Nです。
うちコンスタル13Nは、2012年12月に全車営業から退いています。

コンスタル13N、コンスタル105Na、FPS 123Nは全長13m級の単車、コンスタル116Naは全長24m、PESA120Nは全長30m級の連接車です。単車は2両連結で運行されている場合がほとんど(休日などは一部系統で単行運転)で、結果的にコンスタル116Naだけが若干輸送力が小さいことになります。
総車両数は約750両(単車は一台を1両、連接車は一編成を1両として数えた場合。両数のデータだけは2013年2月現在です)で、最大勢力はコンスタル105Naとその改造車ですが、超低床車であるPESA 120Nが急速に勢力を拡大しており、2013年2月現在で160編成あります。最も少ないのはコンスタル116Nの約30編成・FPS 123Nの30両です。
両数のデータは、訪問時(2011年現在)のものが得られなかったため、コンスタル13Nの在籍数は不明です。2011年の訪問時は、コンスタル116Nよりも頻繁に見かけましたので、晩年まで結構な両数が残っていたのでしょう。
ほとんどの車両は片運転台で、乗降扉も進行方向右側の側面にのみ存在しますが、一部のPESA 120N(2013年2月現在、6編成のみ)では両運転台・両側ドアとなっています。

塗装は全車とも黄色/赤色のツートンカラーで、ワルシャワ市旗と同色です。市内バスも同じ色に揃えられています。
追って、各車種ごとの詳細な解説をアップしていく予定です。