【本の紹介】世界の路面電車ビジュアル図鑑

●世界中を網羅した驚くべきボリューム
まさに圧倒的なボリュームの本です。世界50カ国400以上の都市の路面電車を紹介するという、おそらくは前代未聞と思われる企画で、これを筆者一人で訪問したというのですから驚くほかありません。
日本で紹介される海外の路面電車というと、LRT先進地域というべき西欧や北アメリカか、日本人でも身近な中国などの電車が多いですが、本書はそれらの国々は当然のこと、旧ソ連やトルコ、中東欧など、馴染みの薄い国々の路面電車も扱われています。
ロシアのマイナー都市や、ウクライナ、ブルガリア、カザフスタンなど、和書はもちろんネット上でも情報の少ない国・都市の電車が多数登場しており(流石に北朝鮮は扱われていませんが……)、これだけ情報の入手が容易になった昨今でも、まだまだ知らない電車がこんなにあるのか!と新鮮な気持ちにさせられます。
続きを読む

【本の紹介】URBAN RAIL DOWN UNDER(オセアニアの都市鉄道)

 ダウンアンダー、つまり(欧州から見た)地球の裏側、すなわちオーストラリアとニュージーランドの都市鉄道にスポットを当てた本です。
 前回ご紹介した本と同じロバート・シュヴァンドル氏によるもので、紹介されている都市はオーストラリアのパース、アデレード、メルボルン、シドニー、ブリスベン、ゴールドコーストと、ニュージーランドのオークランド、ウエリントン、クライストチャーチです。
 貨物はともかく旅客輸送の分野においては、鉄道が実用的な交通機関の体をなしていないイメージすらある両国ですが、特にオーストラリアにおいては都市鉄道が充実しており、またニュージーランドにおいても、都市交通として無視できない質と量で近距離鉄道が運行されていることが、本書によりわかります。

続きを読む