【本の紹介】『世界の路面電車ビジュアル図鑑』疑問点・誤記一覧

以前掲載した記事で『世界の路面電車ビジュアル図鑑』を取り上げましたが、読んでいく中で、情報が古い箇所や誤った情報が掲載されている箇所、読者にとって不親切と思われる箇所を多く見つけましたので、備忘録としてここに掲載しておきます。
一応お断りしていますが、以下の表に取り上げたからといって絶対に間違いだというわけではなく、資料や事実の解釈の仕方が私と編著者とで異なったり、そもそも正確な事実そのものが不明であったりした結果、見解が相違してしまったという可能性があります。また内容に疑義がある箇所だけでなく、「このように編集するほうがより読者に親切ではないか」という点も取り上げています。

とはいえ、私はなにぶん浅学菲才の人間ゆえ(ロシアやウクライナ、ルーマニア、南米各国その他、下記の表で触れることができていない部分がどっさりあることが、私の浅学ぶりを証明しています)、下記の内容もまた誤った知識に基づいているという恥ずかしい事態を生じている可能性も大いにありますので、「本ではこう書かれているが本来はこう書くのが正しい」という厳密なものではなく、「このへんがちょっと怪しい、ちょっとわかりにくい」くらいの話に捉えていただければと思います。もちろん、下記のように重箱の隅をつつくような間違いがあるからといって、世界中の路面電車を一冊に集めたという本書の貴重さはまったく薄れるものではなく、類書のない試みであることに変わりはありません。

<p018-020>, メルボルン, …… 「主な車両」に、MMTBおよびComengが必要と思います(写真のうちp18左3つと右の下から3枚目、p19一番上と左の下から3枚目、右の下から2・3枚目はComeng製、p20の一番下および中2枚はMMTB製です)。, (参考 : 『Urban rail Down under』Robert schwandl著 p64 )
<p22>, シドニー, …… 「主な車両」の記載がありませんが、この車両はアドトランツ製です。, (参考 : 『Urban rail Down under』Robert schwandl著 p99 )
<p25>, インスブルック, …… 主な車両に、「デュヴァーク、ローナー」との記載がありますが、両者とも現在は通常運用からは引退し、現在はボンバルディア製車両での運行です。, (参考 : 『Tram AtlasSchweitz&Osterreich』Robert Schwandl著 p65 )
<p60>, プラハ, …… 60ページ上の写真は、塗装及び車番からするとプラハではなくブルノの車両かと思います。,
<p61-62>, アレクサンドリア・カイロ・ヘリオポリス・ヘルワン, …… 「主な車両」の記述がありませんが、いずれの都市についても、写真に写っている車両は日本の近畿車輛製の車両です(アレクサンドリアの写真下3枚を除く)。もっとも、それなりの両数が輸出されたものの、現在でも「主な車両」と言えるほどの数が現役なのかは定かではありませんが……。, (参考 : http://www.kinkisharyo.co.jp/pdf/gihou/KSW14/KSW14_p54-58.pdf http://www.tetsushako.or.jp/page_file/20130424101753_zEQCfol1gS.pdf )
<p78>, ニース, …… 解説に「トラムはバッテリーに蓄えた電気を利用して走行している」とありますが、これでは全区間バッテリー走行であるかのように誤解する読者がいそうです。一部の架線レス区間でバッテリー走行であるという旨の表記にした方がより正確でしょう。, (参考 : 『世界のLRT』三浦幹男・服部重敬・宇都宮浄人著 p43 )
<p93>, ベルリン, …… 主な車両に「ゴータ」との表記がありますが、現在は通常運行に供されていません。また、「私鉄による運行も行われていて」とありますが、私鉄とはシェーンアイヘ・ヴォルタスドルフ・シュトラウスベルクのことを指しているのではないかと思います。もしそうであるならば、別項で扱っているので、ベルリンの項では触れない方が良く、前記3都市とは別にベルリン市内で私鉄による運行があるように誤解を招きそうです。, (参考 : 『Tram Atlas Deutschland』Robert Schwandl著 p124 )
<p96>, ブランデンブルク・アン・デア・ハーフェル, …… 主な車両に「ゴータ」との表記がありますが、現在は通常運行に供されていません。, (参考 : 『Tram Atlas Deutschland』Robert Schwandl著 p123 )
<p107>, フランクフルト・アン・デア・オーデル, …… 主な車両に「ゴータ」との表記がありますが、現在は通常運行に供されていません。, (参考 : 『Tram Atlas Deutschland』Robert Schwandl著 p142 )
<p110>, ゲルゼンキルヘン, …… 主な車両が記載されていませんが、この都市ではデュヴァーク、シュタッドラーが運行されています。, (参考 : 『Tram Atlas Deutschland』Robert Schwandl著 p40 )
<p111>, ゲルリッツ、ゴータ, …… 主な車両に「ゴータ」との表記がありますが、現在は通常運行に供されていません。, (参考 : 『Tram Atlas Deutschland』Robert Schwandl著 p105・122 )
<p112>, ハルバーシュタット, …… 主な車両に「ゴータ」との表記がありますが、現在は通常運行に供されていません。また、Lipziger Fahrzugbau(ライプツィヒ車両工場)製の超低床車「レオライナー」が導入されています, (参考 : 『Tram Atlas Deutschland』Robert Schwandl著 p138 )
<p117>, イェーナ, …… 主な車両に「ゴータ」および「タトラ」との表記がありますが、現在は通常運行に供されていません。, (参考 : 『Tram Atlas Deutschland』Robert Schwandl著 p108 )
<p120>, ライプツィヒ, …… 主な車両に「ゴータ」との表記がありますが、現在は通常運行に供されていません。またシーメンス製(p122下段の写真の車両)、 Lipziger Fahrzugbau(ライプツィヒ車両工場)製車両(p122中段左の写真の車両)が それぞれ数十編成導入されていますから、そちらを追記した方が現在の実態に沿っていると思います。, (参考 : 『Tram Atlas Deutschland』Robert Schwandl著 p96 )
<p123>, ルートヴィヒスハーフェン,”…… 解説文に「トラムの停留所は鉄道駅から数キロ歩いた場所にある」とありますが、トラムの停留所は中央駅すぐの地下にあり、数キロというのは実際の距離と相当乖離しています。
「地下を走る路線はトラムとは言わん!」と言うなら別ですが……。”, (参考 : http://www.vrn.de/mam/vrn/einfach-ankommen/dokumente/ludwigshafen__hbf.pdf )
<p127>, ナウムブルク, …… 主な車両に「タトラ」との表記がありますが、在籍していない筈です。また路線延長が8.8キロとありますが、別の文献の数値(2.5キロ)と食い違っており、またグーグルマップから測ってみても8.8キロというのは長すぎのように思えます。なお、かつては市街を一周する環状線となっていましたが、8.8キロというのはその頃の数値かもしれません。, (参考 : 『Tram Atlas Deutschland』Robert Schwandl著 p103 )
<p128>, ノルトハウゼン, …… 主な車両に「ゴータ」との表記がありますが、現在は通常運行に供されていません(現在は全車シーメンス「コンビーノ」)。,” (参考 : 『Tram Atlas Deutschland』Robert Schwandl著 p104 『Tramways & Urban Transit』2014年6月号 Light Rail Transit Association発行 )”
<p132>, ロストク, …… 主な車両に「ゴータ」との表記がありますが、現在は通常運行に供されていません。, (参考 : 『Tram Atlas Deutschland』Robert Schwandl著 p12 )
<p133>, シェーンアイヘ, …… 解説文に「ベルリンからは郊外電車のRE1に乗車し、フライドリヒスハーゲンで下車」とありますが、RE1は同駅には停車しません(SバーンのS3系統が停車します)。また 主な車両に「ゴータ」との表記がありますが、現在は通常運行に供されていません。, (参考 : ベルリンからのアクセスについて……http://www.s-bahn-berlin.de/pdf/VBB-Liniennetz.pdf 車両について……『Tram Atlas Deutschland』Robert Schwandl著 p131 )
<p135>, シュトゥッツガルト, …… ゲージが1000mmとありますが、1435mmが正しいです。一部路線が1000mmゲージでしたが、2010年に1435mmゲージに改軌されています。旧型車の保存運転用に1000mmゲージの線路は残されていますが、通常運行に供するものではありません。また 主な車両に「エスリンゲン機械工場」との表記がありますが、1000mmゲージの路線の廃止と同時に通常運行から引退しています。, (参考 : 『Tram Atlas Deutschland』Robert Schwandl著 p62・『Schenellbahnen in Deutschland』 Robert Schwandl著 p148 )
<p136>, ヴォルタスドルフ, …… 解説文に「ベルリンからは郊外電車のRE1に乗車し、ランスドルフで下車」とありますが、RE1は同駅には停車しません(SバーンのS3系統が停車します)。また「シェーンアイへ行きの路面電車始発駅」とありますが、シェーンアイへ行き路面電車の始発駅はヴォルタスドルフの路面電車の始発駅とは異なる駅(隣の駅)です。, (参考 : http://www.s-bahn-berlin.de/pdf/VBB-Liniennetz.pdf )
<p141>, ブダペスト, …… 解説文に「アプ式登山電車」とありますが、これは「アプト式」の誤記と推測します。そもそも当該の電車はアプト式なのか疑問です。ラック式鉄道であることは確かですが、ラックレールの形状を見る限りとてもアプト式には見えません。ウィキペディアではアプト式ではなくリッゲンバッハ式として紹介されています。著者の方は(失礼ながら)ラック式鉄道=アプト式鉄道 と誤解されているのかも?, (参考 : https://en.wikipedia.org/wiki/Budapest_Cog-wheel_Railway )
<p149>, フィレンツェ, …… 路線延長が29.4キロとありますが、7.4キロが正しいです。, (参考 : 『Metros in Italy』 Robert Schwandl著 p70 )
<p150>, ジェノヴァ, …… Data欄に記された情報はメトロについての記述かと思いますが、その一方で写真は3枚中2枚がカーブルカーであり、解説文でもメトロでなくケーブルカーについて触れており、またケーブルカーの方がメトロよりトラム風の車両であることから、Data欄の記述はケーブルカーについてのものであると誤解する読者が居そうです。, (参考 : 『Metros in Italy』 Robert Schwandl著 p60-67 )
<p151>, ミラノ, …… 路線延長が208.8キロとありますが、別の文献やウェブサイトの数値(115km)と大幅に食い違っています。,” (参考 : 『Metros in Italy』 Robert Schwandl著 p49 ・ http://www.urbanrail.net/eu/it/mil/tram/milano-tram.htm )”
<p157>, 銚子電鉄, …… 全く路面走行とは無縁の鉄道で、車両も路面電車スタイルとは程遠いものばかりが在籍している鉄道ですが、これを取り上げることは本書のタイトルと矛盾しているのでは? 銚子電鉄を取り上げるなら、代わりに筑豊電鉄を取り上げた方が本書のタイトルに相応しい内容になったのではないでしょうか。,
<p159>, 名鉄岐阜市内線, …… 一番上の写真は名鉄ではなく、福井鉄道の車両です。,
<p167>, 土佐電気鉄道, …… 主な車両に「エスリンゲン」とありますが、ドイツの都市を取り上げたページでは「エスリンゲン機械製作所」と表記されており、表記揺れしています。,
<p169>, 熊本市交通局, …… 主な車両に「アルナ工機、アルナ車両」とありますが、同じ企業のことを二度重複して表記する必要はないかと思います。もし、社名変更前に製造された車両も、変更後に製造された車両も居るという意図で書かれたのであれば、他ページでは社名変更後に製造された車両についても「アルナ工機」と表記している箇所があり、そちらも正確を期するべきかでしょう。,
<p209>, デン・ハーグ, …… 主な車両として5社表記されていますが、現在営業に供されているのはBNとアルストムのみです。, (参考 : 『Metros in Holland』 Robert Schwandl著 p78 )
<p218>, ベルゲン, …… 開業年が1897年とあります。確かにベルゲンには戦前開業の路面電車があったようですが、いったん全線廃止されており、現在のLRTは2010年の開業です。開業年に1897年と書かれていると、その時からずっとベルゲンにおける路面電車の歴史が継続しているように誤解する読者がいそうです。, (参考 : http://www.bybanen.no/privacy-policy/ http://www.eurotransportmagazine.com/11720/eurotransport-magazine/past-issues/issue-3-2013/extending-bergens-light-rail-network-for-future-demand/ )
<p229>, ゴジュフ・ヴェルコポルスキ, …… 主な車両に「コンスタル、クレディー、ウェッグマン」とありますが、「コンスタル、デュヴァーク」が正しいです。, (参考 : 『ATLAS SIECI TRAMWAJOWYCH POLSKI 2014』p40 )
<p229>, エルブロンク, …… 主な車両に「コンスタル、ウエストワゴン、デュヴァーク」とありますが、「コンスタル、デュヴァーク、ペサ」が正しいです。, (参考 : 『ATLAS SIECI TRAMWAJOWYCH POLSKI 2014』p26 )
<p231>, カトヴィツェ, …… 路線延長が207.0kmとありますが、現在の路線延長は169kmとなっています。もっともカトヴィツェ周辺における路面電車路線は2009年まで縮小が行われていたので、これは誤りと言うよりは、データ収集時期の違いによるものだと思いますが。, (参考 : 『ATLAS SIECI TRAMWAJOWYCH POLSKI 2014』p37 )
<p231>, ポズナン, …… 路線延長が90.0kmとありますが、現在の路線延長は68kmとなっています。また主な車両に「タトラ」とありますが、タトラカーは在籍していません。, (参考 : 『ATLAS SIECI TRAMWAJOWYCH POLSKI 2014』p96 )
<p238>, ワルシャワ, …… data欄に①②とありますが、これは①が路面電車、②がWKD(Warszawska Kolej Dojazdowa) のことを指しているのでしょうか? 本文中のみならず写真にもWKDは全く出てきていませんので、どこかで触れた方が理解しやすそうです。,
<p352>, ストックホルム, …… Data欄に①②とありますが、②の路線(Djurgårdslinjen)については写真がありませんので、何を意味するのかどこかで触れた方が分かりやすいと思います。また①にある、開業年1877年、路線延長26.4kmの路線とは何を指しているのでしょうか? ストックホルム市内にあるトラムの路線(Nockebybanan、Lidingöbanan、Tvärbanan)は全てが、1900年代の開業です。,” (参考 : http://sl.se/sv/Om-SL/Det-har-ar-SL/Verksamhet/Trafiken/Lokalbana/
『Metros inScandinavia』 Robert Schwandl著 p125・129 )”
<p355>, ロールシャッハ, …… 開業年が1988年となっていますが、公式サイトによると1896年が正しいです。, (参考 : http://www.appenzellerbahnen.ch/Unternehmen/Geschichte.aspx )
<p378>, ブラックプール, …… 主な車両に「ボンバルディア」も追記した方が良さそうです。2012年より、ボンバルディア製の新型車両が16編成も導入されています。, (参考 : http://www.railwaygazette.com/news/urban/single-view/view/flexity-2-tram-unveiled-in-blackpool.html )
<p383>, ロンドン・ウインブルドン, …… 380ページにも同じ路線の紹介が出ていますが、2箇所で同じ路線を紹介する必要はないのではないでしょうか? またdata欄における人口・路線延長の数字が、同じ都市・路線のことについての記述の筈なのに、値が異なっているのも不可解です。,
<p385>, ニューカッスル・アポン・タイン, …… data欄に「軌間」という行が二つありますが、下は「主な車両」とするのが正しいのでは。,
<p388>, ボストン, …… 主な車両に「アレクサンド・ブレダ」とありますが、これは「アンサルド・ブレダ」ではないでしょうか。「Ansaldo」を「アレクサンドル」と読むことは通常はないかと思います。, (参考 : http://www.ansaldobredainc.com/light-rail-vehicles/boston )
<p388>, ボルティモア, …… 「主な車両」に「シーメンス」とありますが、これはABBトラクション社による製造です。, (参考 : 『Subways & Light Rail in the USA 1 East Coast』Robert Schwandl著 p143 )
<p396>, ラスベガス, …… モノレールが取り上げられていますが、これは本書のタイトルに相応しくない内容ではないでしょうか。明らかに路面電車ではありませんし、このようなモノレールを取り上げるなら、東京やクアラルンプールやブッパータールなどのモノレールが取り上げられていないのはおかしい、ということになってしまいます。,
<p404>, ニューアーク, …… ニューアークのライトレールが取り上げられているのに、なぜ近隣のニュージャージーのライトレール(ハドソンベルゲンライトレール)は取り上げられていないのでしょうか? まあ、「全ての路面電車路線を網羅」とはどこにも謳われていないので、別に良いといえば良いのですが、ニューアークからとても近くてそれなりに知名度もある路線なので、ここは不可解に思ってしまいました。, (参考 : http://www.njtransit.com/pdf/LightRail/sf_lr_hblr_map.pdf )
<帯>, , …… 「アメリカ合州国」は「アメリカ合衆国」と表記するのが一般的。意図を持って合州国と表記する場合もありますが、この本の場合はあてはまらないでしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です