都市交通博物館の展示の中心は路面電車の車両ですが、トラム博物館ではなく都市交通博物館と名乗っているからには、路面電車以外の展示物もありますので、今回はそれらをご紹介します。
1973年製のバス4881号です。設計はポーランドのバス・トラックメーカーJelcz(イェルチュ)で、このタイプはチェコスロバキア国内でもライセンス生産されました。丸みの強い車体がいかにも昔のバスらしいですね。ちなみにイェルチュはポーランド国内向けに多数の車両を供給していましたが、現在はバスの製造は行っていません。
こちらは共産主義諸国に広く普及したハンガリー製の連接バス、イカルス280です。1988年製ということで、訪問当時の車齢は20年少しでしたが、東欧革命後に一挙に進歩した現在のバスからすると非常に見劣りがする印象を受けたのも事実でした。
現在の日本では、車齢20年のバスなど大して古さを感じないのとは対照的ですね。ブダペストでは当時も大量に現役車が健在でしたが、プラハでは見かけませんでした。展示車は導入当初の状態に復元されていました。
こちらはトロリーバス494号。左側に半分写っているのは、架線点検車のトラックです。屋根上の点検台がリフトアップできる構造となっています。
これでプラハ都市交通博物館の保存車の紹介は終わりです。
かなりの両数をご紹介してきましたが、これでもまだ紹介できていない車両があり、さらに一般に公開していない車両もあるようで(開業当初の地下鉄車両なんかも収蔵品にあるようですが、さすがに展示庫には収まらないのでしょうね)、この充実ぶりは羨ましい限りです。訪問後も収蔵している車両は増えているようで、2014年にはタトラKT4D型も追加されたといった話題もありました(『Tramways & Urban Transit』誌2014年5月号)。博物館内の線路は営業線とつながっているのも嬉しいポイントで、過去には車両を引っ張り出して路面電車パレードを行ったこともあるようです。
訪問時は、所蔵車両全車について簡単な解説を書いたパンフレットがもらえ、きちんと英語版も用意されていました。
さらに売店ではかなり分厚いカタログも販売しており、詳細な解説や現役当時の写真も見ることができます(訪問したのはだいぶ前のことなので、売り切れている可能性も無きにしも非ずですが)。表記はチェコ語だけなので、何を書いてあるのかほとんど理解できないのが残念ですが。
売店ではカタログのほか一般の鉄道書や市電の模型も販売していました。これらは市中では入手が難しい様子でしたので、ここで買えたのも入館したメリットでした。
訪問時の売店・切符売り場の係員は、簡単な英語が話せました。
都市交通博物館の構内からは、旧型車の保存運転(91系統)が定期運行されています。製造後約100年の骨董品が街中の営業線を堂々と走っているという、貴重な経験ができますので、博物館訪問とあわせてご乗車になるとより楽しめること請け合いです。
時刻表は、プラハ市交通局時刻表検索ページの「Line」欄に91と入力して、「Date」欄にご乗車日の日付を入力(基本的に春~秋の週末のみ運転です)すると出てきます。乗車券は車内で車掌さんから購入します。一般のトラムの乗車券は使用できませんので、既に一日乗車券等を所持している場合でも別途購入が必要となりますが、日本で云う車内補充券のような切符を切ってくれますので、記念にも好適だと思います。
なお91系統の走行音を「トラムのひびき」サイト内でも紹介していますので、よろしければ併せてご覧ください。