【旅行ガイド】ワルシャワ 公共交通機関の利用ガイド

ワルシャワ市電の記事を連載してきたことからお分かりの通り、私は以前ワルシャワへ旅行し、公共交通機関に乗りまくりました。
ワルシャワの市内交通の利用方法についてはやや情報が少ないようですので、私の知る範囲で情報の調べ方をメモしておきます。

なお、以下の情報は2013年8月に執筆しました。ネット上の情報も2013年8月に調査しました。それ以降の変更は反映してありません
絶対に間違いがない情報でないと困る場合は、このブログを頼りにせずご自身でお調べ下さい。

また、ポーランド政府観光局のブログにも、乗り方について分かりやすくまとまった記事がありますので、併せてご覧下さい。ていうかあちらの方が分かりやすいと思います(笑)

●どんな交通手段があるの?

ワルシャワの市内を移動するための交通機関としては、以下のようなものあります。

・路線バス(Autobus)
ワルシャワ市内全域をカバーする交通手段。日本でもそうであるように、長距離バスと市内バスがありますが、本稿では市内バスについて扱います。市内バスは赤と黄のカラーリングが目印です。

市内バス。黄と赤のカラーリングです。

市内バス。黄と赤のカラーリングです。

・市電(Tramwaj)
こちらもワルシャワ市内の至る所に路線があります。バスに比べると分かりやすいので、旅行者にも比較的利用しやすいです。

Stare Miasto電停を発車する120Na / A 120Na leaves Stare Miasto stop.

市電。

・電車
電車の中には、さらに以下のような種類があります。

・長距離列車……ワルシャワから他都市へ行く列車。本稿では扱いません。

長距離列車の例。ドイツ・ベルリンとワルシャワを結ぶ「ベルリンワルシャワエクスプレス」。

長距離列車の例。ドイツ・ベルリンとワルシャワを結ぶ「ベルリンワルシャワエクスプレス」。

KM(Koleje Mazowieckie:コレイ・マゾビエツキ)……ワルシャワ周辺の地域(ワルシャワ市外も含む)を走る列車。東京で言うと高崎線・横須賀線、大阪で言えば東海道線・大和路線などに相当するものです。基本的に普通列車ですが、一部に小駅を通過する列車があります。基本的には緑と白のカラーリングです。SKMと同じ線路を共用している区間がありますので、「SKMには乗れるがKMには有効でないきっぷを持っている」といった場合(詳しくは後述します)には、間違えないよう注意が必要です。

20110121_203834_Koleje Mazowieckie(Warszawa stadion)_01トリミング・傾き補正_small

KMの電車。緑と白のカラーリングです。

SKM(Szybka Kolej Miejska:シュィブカ・コレイ・ミエスカ)……ワルシャワ市内だけを走る近距離電車。赤と白、または水色と白のカラーリングです。運賃が市電・市内バスと共通で、路線図も同じものに掲載されているなど、一体的に利用できるよう配慮されています。路線名が「S」で始まるものがSKMの路線で、路線名は車両の行先表示にも書かれています。

SKMの電車。大半はこのような赤と白のカラーです。

SKMの電車。大半はこのような赤と白のカラーです。

SKMの電車。一部にこのような水色と白の車両があります。

SKMの電車。一部にこのような水色と白の車両があります。

・地下鉄(Metro)……市内を南北に縦断する1号線(Linia M1)と、東西に横断する2号線(Linia M2)があります。運賃は市電・市内バスと共通です。

WKD(Warszawskiej Kolei Dojazdowej)……ワルシャワ市街中心部から西へ向かう電車です。市電と普通の鉄道の中間的な鉄道ですが、沿線に観光地がないため普通の人(普通じゃない人、すなわち鉄道ファンには気になる路線だと思いますが)には縁がないと思います。

20110117_175306_Warszawska Kolej Dojazdowa(Warszawa Zachodnia)トリミング_small

WKDの電車。現在は新型車両に置き換えられていますが、赤と青のカラーリングは同じです。

これらのうち、市内の観光で最も使いやすいのは市電、次がバスになるかと思います。KM・SKMは空港に乗り入れていますので、空港への行き来で使うことになるでしょう。地下鉄は2号線を旧市街への交通として使うことがあるかもしれません。地下鉄1号線は沿線が殆ど住宅地のためあまり利用する必要が出てこないかと思います。
これより先では、市内バス・市電・地下鉄・SKMについて解説していきます。

●どこを走っているの?
ZTM(市内バス・市電・地下鉄を運行している事業者)の公式サイトに、路線図がいろいろと掲載されていますので、ご覧下さい。

http://www.ztm.waw.pl/?c=198&l=2
この路線図には、市内バス・市電・地下鉄・SKMの運行系統・停留所が全て掲載されています。さらに、自動券売機・有人きっぷうりばの設置場所や、バス専用レーンの存在(バスが遅れにくい)までわかる優れものです。
ちなみに終夜運行路線についてはこちらの路線図をご覧下さい。
http://www.ztm.waw.pl/?c=199&l=2

上の路線図を見ても、「バス路線が複雑すぎて意味わからん」という場合は、こちらの路線図をご覧になると良いでしょう。市電・SKM・地下鉄のみの路線図です。
http://www.ztm.waw.pl/pokazmapy.php?i=16&l=2

●いつ走っているの?
時刻表も、ZTMの公式サイトに載っています。
系統番号で探す場合はこちら→http://www.ztm.waw.pl/rozklad_nowy.php?c=182&l=2
停留所名から探す場合はこちら→http://www.ztm.waw.pl/rozklad_nowy.php?c=183&l=2

●運賃はいくら?
きっぷの種類・有効期間・利用可能なエリアの広さによって異なります。
いろいろな種類のきっぷがありますので、自分の使い方に合ったものを選んでください。
詳しくは公式サイトに説明がありますので、そちらをお読み下さい。
……とはいうものの、日本におけるきっぷの体系とは大きく異なるため理解しにくい面もあるかと思いますので、少し解説します。

・種類1:時間制限券(Bilety czasowe / Time-limit ticket)
制限時間内であれば、何回でも乗り降りも乗り換えも自由のきっぷ。制限時間の長さによって、値段が異なります。
・種類2:単一料金券(Bilety jednorazowe / Single fare ticket)
一つの路線で一回のみ有効な切符。いちど降りたら以後は無効となります。一応制限時間が設けられています(120分)が、異常気象や事故でもない限り、始発地から終点まで乗ったとしても120分以上かかるようなことは無いでしょう。このきっぷに限り、車内で運転手から購入することもできますが、ダイヤより遅れている場合は購入を拒否されることがあります(運転手は拒否してよい決まりになっています)。また運転手はポーランド語しか話せない場合が多いと思います。
・種類3:1日券・3日券(Bilety krótkookresowe / Short-term ticket)
有効期間内ならば、何回でも乗り降りも乗り換えも自由のきっぷ。1日券は使用開始時刻から24時間有効であるのに対し、3日券は使用開始から3日目の23:59まで有効(72時間有効、というわけではありません)となっています。
・種類4:定期券(Bilet długookresowy / Long-term ticket)
説明は割愛します。

いずれのきっぷも、有効なエリアが定められています。
市街の中心部はエリア1(Strefa 1)、郊外部はエリア2(Strefa 2)で、エリア1のみ有効の切符と、1・2両方に有効の切符では値段が異なります。
ガイドブックに載っているような所だけ行くのであれば、エリア1に有効な切符で十分です。市電の路線も全てエリア1の中ですし。
どこからどこまでがどのエリアなのかは、以下の図に示されています。
鉄道のエリア図→http://www.ztm.waw.pl/pokazmapy.php?i=10&l=2
バスのエリア図→http://www.ztm.waw.pl/pokazmapy.php?i=13&l=1

具体的な値段については、以下のページをご参照下さい。
http://www.ztm.waw.pl/?c=110&l=2

なお、きっぷの種類によって利用可能な乗り物が異なります。以下の表をご参照下さい。

201310ワルシャワ交通機関の乗り方ガイド用_きっぷ有効範囲表

出典:http://www.ztm.waw.pl/?c=145&l=2
※KM・WKDはゾーン1・2の外も走っていますが、当然ながらゾーン1・2の外では、上表で○がついていても利用できません。

旅行で利用するのであれば、1日券か3日券がお勧めです。乗車のたびにきっぷを買うのはかなり煩わしいですし、価格が安いのであまり乗らなかったとしても大した損失にはなりません。

●きっぷの使い方
きっぷの使い方も、日本とはシステムが異なります。

・市電・市内バスに乗る場合
きっぷは基本的に乗車前に購入しておきます。
発売場所は、地下鉄駅や主要な停留所にある自動券売機有人きっぷうりば、路上のキオスク(Ruch ルフ)、郵便局です。新型車両では、車内にも自動券売機があります。先述したとおり、単一料金券のみ運転手からも購入できます。
自動券売機は英語表示に切り替えることも可能です。有人きっぷうりば・キオスク・郵便局は、運が良ければ英語が通じるかもしれませんが、あまり期待しないほうがいいでしょう。
どちらにしても、どの切符を買いたいか決まっていないとまごつくばかりですので、あらかじめ決めておきましょう。

乗車したら、車内の手すり各所に刻印機(幅10cm、高さ20cmくらいの箱です)がありますので、それにきっぷを差し込んで下さい。使用開始日時が印字されます。
きっぷは、使用開始日時が印字されている状態となって初めて、効力を発揮します。印字の無いきっぷを所持していても、無賃乗車扱いとなりますので注意しましょう。

市電の車内。青線で囲った部分が刻印機です。設置場所は車種により異なります。

市電の車内。青線で囲った部分が刻印機です。設置場所は車種により異なります。

日本と違いきっぷはノーチェック(運転手への提示は不要なので、運転席脇のドア以外からも乗ってOK)ですが、その代わり抜き打ち検札が時々あります。抜き打ち検札で不正乗車が発覚すると、悪意の有無に関わらず高額(1日券が10枚買える位)の罰金を徴収されます。単純にきっぷ無しで乗った場合のほか、使用開始日時を印字し忘れた、有効期限を過ぎているのに乗っていた、などの場合も罰金の対象となります。

余談ですが、地元の人は殆ど刻印機にきっぷを差し込んでいませんが、べつに不正乗車が横行しているわけではありません。欧州では一般に定期券の価格が安く利用可能範囲も広いので、定期券を持つのが一般的だからと思われます。私が抜き打ち検札に遭遇した際は、刻印機を使っていた人はごく少数だったのに、皆しっかりきっぷを提示しており、検札につかまった人は一人もいませんでした。

・地下鉄に乗る場合
こちらは日本とほぼ同様です。駅の券売機できっぷを購入し(駅以外で事前に購入しておいてもOK)、自動改札機に通してください。
降車駅の自動改札機では、きっぷを挿入する必要はありません(近づけばゲートが開きます)。きっぷが不要ならゴミ箱へ。その後も使うならそのまま持っておきましょう。

・SKMに乗る場合
市電・市内バスに乗る場合とほぼ同じです。駅に改札口が無いですし、駅によってはきっぷうりばも無い(この場合は駅付近のキオスクとかで買えるかもしれません)ので、本当にそこらの停留所から市電やバスに乗る場合と同じ方法をとることになります。時々抜き打ち検札があるのも同じ。
SKMの場合、車内に自動券売機があるので、そこできっぷを買うこともできます。ただし、紙幣の使用は不可であり、また一般的に欧州の自動販売機の類は日本に比べ故障・つり銭切れが多いです。

2 thoughts on “【旅行ガイド】ワルシャワ 公共交通機関の利用ガイド

  1. ワルシャワ滞在中、公共交通機関の利用に難儀する中、本サイトを見つけました。
    先ずは間違えて乗車してもリカバリーし易いトラムから利用することによって
    行動範囲を広げる事が出来ました。1日券を買ってホテルからトラムの駅までバス
    を利用したり、不便だと思っていたワルシャワが急に便利な街の様に思えてきました。
    お蔭でグダニスクの様な地方都市に行っても何の不自由も無く過ごせました。
    有益な情報をご提供下さり有難うございます。

  2. J1様
    コメントありがとうございます。こうしてお礼の言葉を直接頂けると大変励みになります。
    ワルシャワは徒歩だとちょっと辛いサイズの大都市ですから、電車・バスを乗りこなせるとかなり行動が楽になりますよね。
    ワルシャワ滞在のお役に立てたことを嬉しく思います。

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