2012年末、中国の大連・長春に行ってきました。お目当ては両都市の市電。とくに、鉄道ファンの間では有名な、大連の戦前製電車に乗ってこようというものです。
シーズンオフだからなのか、昨今の日中関係冷え込みによる需要減によるものか、成田~大連の往復航空券と宿泊セットで約6万円と、下手な国内旅行とさして変わらない値段の海外です。ちなみに往復航空券のみだと7万円台だったり。
成田をほぼ定時に出発したJAL機は、甲府まで中央線沿いに飛び、大連へほぼ定時の13時過ぎに到着。電車バス好きとしては早速路線バスで市街に向かいたいところですが、ホテルまでの送迎サービスも含まれたツアーだったので、ここはおとなしくワゴン車に乗り込み、大連駅前の「ラマダホテル大連」に向かいます。
駅前ということで窓から駅や路面電車が見えないかなと期待していたのですが、みごと駅前広場に面した部屋になりました。明日は長春に向かおうと考えているので、早速駅へきっぷを買いに向かいます。
中国の駅のきっぷ売り場と言えば「没有」の決まり文句と大行列で有名ですが、駅舎に入ってみたら少なくとも大行列の方はなく、拍子抜け。あとは「没有」と言われるかどうかですが、窓口のお姉さんは、言葉の通じない筆談旅行者にもきっちり応対してくれ、あっさり切符が手に入りました。
翌日朝の高速鉄道(新幹線)1等で大連から長春まで、その日の夜の夜行列車硬臥(三段寝台)で戻るきっぷです。
案外あっさり手に入ったきっぷ。/ Above:High speed train ticket to Changchun. Below:Sleeper train ticket to Dalian. I use these tickets tomorrow.
次は市電・バスのICカードの入手です。まずは駅前の「公交IC卡(カード)充値点」と書かれた窓口へ行くも、本当にチャージ専用窓口のようで、「没有」の一言。大連銀行でも扱っているとのことだったので、駅前広場を挟んだ反対側に見える銀行の店舗に行くと、撤退後の跡地に看板が残っているだけでした。15分ほど歩きまわって店舗を見つけましたが、目的地の定まらない15分は精神的に疲れます。
とはいえ、大連銀行では案内係のおばさんが筆談旅行者を親切に案内してくれ(目的が明確だし、デポジットなどカードの制度も日本で調べておいたので、中国語で話されても案外わかるものです)、無事に手に入ってひと安心です。
めでたくきっぷが手に入ったので、明日は朝から高速鉄道に乗りますが、高速鉄道のターミナルである大連北駅への行き方がいまいちはっきりしません。バスはあるはずですが、本数は多いのか、所要時間は、降りるべき場所の景色は、など不明点だらけです。こんどは高速鉄道の駅を下見に行こうと思います。
事前に調べた情報によれば、大連駅前からだと「大連駅~開発区」線が通るらしいので、早速ICカードを使って乗り込みます。外観は新しそうなバスですが、車内は大変なポンコツで、あちこち部品は外れ、プラスチックの座席は一部破損して骨組みの鋼管が見えています。
ほどなく走りだしましたが、バス停でないところでも地元の人が手を挙げてバスを止め、乗ってくるのには驚きました。もっとも、バス停以外から乗る場合はもたもたせずにサッと乗るのが不文律のようで、皆バスが止まりきる前に乗り込み、すぐドアを閉めて発車していきますので、所要時間増はわずかではあります。
大連駅からおよそ50分、左手に大きく四角い建物と線路が見えたので、ここかと思い降りてみると、左側の建物には見事「大连北站(大連北駅)」の文字。成功です。
駅舎も駅前広場も、できたばかりで極めて清潔で、全体にごちゃっとした市街とは全く異なる世界です。
帰りは違うルートを試してみようと、駅の反対側からバスに乗って帰ります。駅前広場内にはバス停が並んでいますが、市街方向へのバスは終バス(17時台!)が出た後。しかし駅前広場の先にある幹線道路には頻繁にバスが走っています。1路、8路など市街方向へのバスが頻繁にやってきますので、そのうち「姚家~興工街」線で、路面電車との乗り換えができる興工街まで出ます。ちょうど夕方の渋滞にはまり、さらに地下鉄工事で車線規制もあって、1時間強かかりました。
興工街からはいよいよ市電に乗車です。電停は乗車を待つ人で賑わい、ちょうど旧型のDL3000型が折り返してきました。これから戦前型電車に乗れると思うと胸が高鳴ります。
が、やってきた電車は「是站不停」の表示板を掲げ、目の前を通過して行ってしまいました。続いてコンビーノ顔の超低床車(DL6WA型)がやってきて扉を開けますが、これはパス。
しかし次も同じくDL3000型は通過してしまい、DL6WA型が停車します。どうやら興工街電停は人で賑わいすぎているので、DL3000型だと先の電停で積み残したりするかもしれないから、DL6WA型に乗れということのようです。
合理的な運転方法ではありますが、わざわざ旧型車に乗りにきた身としては残念。やむなくDL6WAに乗って宿に戻ります。