ハンガリーの首都ブダペストは、多くの歴史的建造物や、街の真ん中を流れるドナウ川と美しい橋梁群をもつ魅力的な街です。が、鉄道ファンにとっては多種多様な乗り物が 走りまわる、都市交通の見本市のような街という面も見逃せません。
路面電車は、世界有数の乗客数を誇る4・6系統があるかと思えば、登山電車になりかけではと思える路線、廃線寸前と思しきローカル系統など、多様な顔がありま す。地下鉄のうち1号線はなんと世界遺産に指定されており、また2・3号線は共産時代の吊りかけ電車が疾走します。HEV(ヘーヴ)と呼ばれる郊外電車は、駅 のたたずまいといい電車のスタイルといい、日本の地方私鉄そっくりに見えて仕方がありません。さらにトロリーバス網もあり、市内の一部地域はトロバス天国と化 しています。もちろん一般の路線バス網も大規模で、大きさは全長7mクラスの小型車から連接バスまで、車種は共産主義時代のポンコツ車から最新のノンステップ 車まで、多種多様な車両が目を楽しませます。またラック式の登山鉄道も、レジャー客とともに途中駅沿線住民の足となっています。一般の鉄道の方も、その地理的 条件によって西欧・東欧各国から色とりどりの列車が乗り入れており、ターミナル駅、特にブダペスト東駅での列車ウォッチングは、「退屈」という言葉とは無縁で す。加えて郊外にはナローゲージの子供鉄道まであります。
そしてその背後に姿があるのは「ドナウの真珠」というブダペストの別称にふさわしい、産業革命期の面影を今に残す街並みと、ハンガリーの命の流れともいうべき ドナウ川。乗り物好きにとってこれほどの役者と舞台のそろった街も、なかなかないと思います。
Budapest, capital of Hungary, is ofetn called "the Pearl of the Danube". There is many histric buildings made in 19th cetury and beautiful bridges across Danube.
Aiso, Budapest has great network of various public transport. About 200km-long tram lines, 3 metro lines, 15 trolleybus lines, 207 bus lines, 4 surburban railways(HEV), and cogwheel railway. Rolling stock of each transport(Especially tram, trollybus and bus) is various. Situations along public transport are valious too. Busy downtown, just side of traditional buildings, wide river, foot of mountain with much green...
Enthusiast of public transport can enjoy well in Budapest.
ブダペスト西駅前を走る
コンビーノ
Combino at
Nyugati pályaudvar.
【走行音】コンビーノ 4系統 Blaha Lujza tér(ブラハ・ルイザ広場)→Moszkva tér(モスクワ広場、現Széll Kálmán tér)
Combino, Line4 Blaha Lujza tér -> Moszkva tér(current name:Széll Kálmán tér)
Line4 is one of busiest tramways of the world. Combino in line 4 and 6 is the longest Combino of the world. As of 2010, due to refurbish work of tracks, Line 4 and 6 is not operated between Újbuda-központ, Móricz Zsigmond körtér and Blaha Lujza tér.
Aug.2010
世界で最も利用者が多い路面電車路線の一つといわれる、4・6系統の録音です。4・6系統は末端の一部区間が枝分かれしているほかはほぼ同じ路線ですが、録音 時はリフレッシュ工事のため、その末端部を含め路線の半分ほどが運休しており、「4・6系統」として運行されていました。この路線にはコンビーノが集中投入さ れており、利用者の多さを反映して全長54mと世界最長のコンビーノ(路面電車全体で見ても、一編成の長さが世界最長)が走っています。
路線は市街地の環状道路に敷設されており、途中で長距離列車のターミナルの一つNyugati pályaudvar(ニュガティ・パーリャウドヴァール - 西駅)を通り、ドナウ川を渡るとセンテンドレ行き郊外電車と交差するMargit híd(マルギット橋)を経て、ドナウ東岸の市内交通の中心地Moszkva tér(モスクワ広場)に至る路線です。全長54mの電車が数分間隔で運行されてなお、大変混雑している路線で、ブダペストのなかでも極めて重要、かつ活気ある路線です。
車内放送はハンガリー語のほか、主要停留所では英語の放送もあり、外国人にも分かりやすいものになっています。起点・終点停留所では短いメロディも放送されて います。ブダペストの市電ではどの路線でも耳にすることのできるメロディですが、こちらの録音では比較的明瞭にお聞きいただけます。
終点Jászai Mari térに
進入するKCSV7型。
背景は国会議事堂。
KCSV7 arrives at
Jászai Mari tér terminal.
Background is the parliament.
【走行音】ガンツKCSV7 2系統 Jászai Mari tér(ヤーサイ・マリ広場)→Boráros tér(ボラーロシュ広場)
KCSV7, Line2 Jászai Mari tér -> Boráros tér
Line2 is running along Danube. There is the parliament and great marcket hall along line2. Many tourist takes line2. As of 2010, line2 is operated by Ganz KCSV7. KCSV7 is hungarian-made high floor tram. Many KCSV7 is used in another lines in Budapest too.
Aug.2010
ハンガリー国産の車両、KCSV7型を用いる2系統を収録しました。この路線は全線がドナウ川に沿って走る眺めの良い路線で、途中には国会議事堂や中央市場などの観光名所 もあり、多くの観光客に利用されています。
収録時は、全便ともKCSV7型で運行されていました。モーター音は比較的静かですが、日本では耳にしないかなり低い音です。自動放送は更新車のみで流れ るもので(未更新車は運転士が肉声放送しますが、人によってあったりなかったりです)、本録音は更新車で収録しました。ただ、音量はかなり小さめです。
終点Hűvösvölgyに到着
するT5C5型
Tatra T5C5 arrives at
Hűvösvölgy terminal.
【走行音】タトラT5C5K型 61系統 Móricz Zsigmond körtér→Hűvösvölgy(フューヴォシュヴォルジュ)
Tatra T5C5K, line61 Móricz Zsigmond körtér -> Hűvösvölgy
Line 61 was going from Móricz Zsigmond körtér in downtown of Buda to Hűvösvölgy in foot of mount Gellért(Now route was changed). As of 2010, line61 was operated by Tatra T5C5K. T5C5K was made by Tatra, and modernised the electric equipment and interior(Not modernised car is called "T5C5").
Aug.2010
有名な「タトラカー」の一員であるT5C5K型を用いていた路線、61系統を収録しました。T5C5K型は他都市でも見られるいわゆる「角タトラ」のグ ループに入るものですが、連接車でなくかつ両運転台という取り合わせは珍しいものです(日本ではごく普通ですが……)。
原型車はT5C5型と呼ばれますが、一部が制御装置・内装の更新を受けており、更新車をT5C5K型と称しています。更新車では自動放送も取り付けられて おり、本録音でもお聞きいただけます。
録音を行った61系統は、ドナウ川東岸の市街地を環状道路に沿って走り、途中ブダペスト南駅(Déli pályaudvar - デーリ・パーリャウドヴァール)を経て、4・6系統や地下鉄などとの乗り換えターミナルMoszkva tér(モスクワ広場、現Széll Kálmán tér)に至ります。その後は東へ向かう放射線となり、ゲッレールト山の中腹Hűvösvölgyが終点です。Moszkva tér以東の沿線は閑静な高級住宅地の趣となり、終点付近は急勾配とカーブが連続する登山鉄道風の路線になるなど、前半とは全く違った雰囲気に変わります。ちなみに 2012年現在は、前半と後半で別の系統に分断されているようです。
1号線の特異な小型電車
(Mexikói út)
A train of line1 at
Mexikói út.
【走行音】地下鉄1号線 Vörösmarty tér(ヴェレシュマルティ広場)→Mexikói út(メヒコイ・ウート - メキシコ通り)
Metro line1, Vörösmarty tér -> Mexikói út
Metro line1 is first electrified subway of the world. Specialized articulated low-floor cars is operated in line1. Very shallow tunnel and specialize car is unique.
Aug.2010
19世紀、地下鉄としては世界初の電車運転を行ったのが、この1号線です。ユーラシア大陸で二番目の地下鉄(ユーラシア初の地下鉄はイスタンブールとさ れますが、地下ケーブルカーでもあり「地下鉄」と称するかは議論が分かれます)でもあり、また2002年には地下鉄としては初めてユネスコの世界文化遺産 にも認定されました。
トンネルは地下数メートルの非常に浅い位置にあり、断面も極めて小さいものです。開業時より、台車を車端に寄せ、逆凸型車体の中央部に低床の客室を設けた 特異な構造の小型電車が運行されてきました。
録音した2010年時点では、1970年代に製造された3両連接車で運行されていました(ちなみに旧型車はDeák Ferenc tér駅構内の地下鉄博物館で保存されています)。モーター音は日本の初期高性能車にもありそうな親しみやすい音ですが、コンプレッサーは京急1000型を彷彿とさせる ロータリー式のような特異な音で、いささか不気味な響きもある男声の車内放送に、けたたましいドアブザーがぶっきらぼうに鳴るという、日本にはない無骨な 雰囲気の音風景になっています。
駅到着前の車内放送メロディは市電と同じですが、他の地下鉄2路線とは異なっており、またドア閉め前の放送メロディは地下鉄1号線でのみ聞かれるもので す。
2号線のソ連製電車
(Pillangó utca)
Soviet made train of
line2 at Pillangó utca.
【走行音】地下鉄2号線 Déli pályaudvar(デーリ・パーリャウドヴァール - 南駅)→Örs vezér tere(ウルシュ・ヴェセール・テレ - ウルシュ・ヴェゼール広場)
Metro line2, Déli pályaudvar -> Örs vezér tere
Metro line2 is east-west line, made in communist era. As of 2010, old soviet made train was still operated in line2.
Aug.2010
地下鉄1号線の開通後、時を経ること約70年、共産主義政権時代に開通したのがブダペストを東西に横断する2号線です。
2010年に訪問した時点においてもなお、開通時のソ連製電車が使われており、昔ながらのくすんだ青色のボディに薄暗い車内照明、ギロチンのごとく勢い良 く閉まるドアなど、一時代前の東側諸国の匂いが充満しています。
BKV(市内交通を運営する公営企業)が財政破綻寸前の状態であったためか、新製車投入はおろかメンテナンスもままならない様子で、外板ボコボコ、塗装は ボロボロの車両を多く見かけます。車内は、更新車ならば車内照明等も改善されているものの、未更新車ともなれば薄暗い電球の照明に紺色のくたびれたビニー ルレザーの座席で、まさに車内も車外もポンコツ電車と呼ぶにふさわしい状態でした。
一方で、走りっぷりは日本の地下鉄電車を上回るもので、京浜急行をもしのぐ急加速を行い、吊り掛けモーターがうなりをあげます。短い駅間でも限界までス ピードを上げ、減速時には電制を使用し、これまたけたたましいモーター音とともに停車します。
車内放送ももちろんお聞きいただけます。未更新車は1号線と同じ男声ですが、収録を行ったのは更新車で、女声の放送となっています。
実のところ、ブダペストの交通機関で一番「音鉄」にとって魅力的なのは、このポンコツ地下鉄電車ではないかと思っています。
センテンドレに停車中
のMXA型
Type MXA at Szentendre.
センテンドレ交通博物館に展示
されている、非電化時代の
HÉV車両
Withdraun HÉV cars at Urban public
transport museum Szentendre.
【走行音】MXA型 HÉVセンテンドレ線 Batthyány tér(バッチャーニ広場)→Szentendre(センテンドレ)
Type MXA Szentendre HÉV, Batthyány tér -> Szentendre
Szentendre HÉV is suburban railway from downtown of Budapest to Szentendre, one of four lines. Type MXA is 3-cars unit EMU, made in DDR from 1975 to 1983.
Aug.2010
郊外電車HÉVは、ブダペスト近郊へ4つの線を伸ばしています。収録したセンテンドレ線は、ブダペスト市街から観光地センテンドレへ伸びており、観光客 の利用も多い路線です。
センテンドレ線のターミナルBatthyány térは、2面3線の地下ターミナル駅で、規模といい建設年代といい、長電長野駅のような雰囲気です。中間駅は1面2線または2面2線の小駅が続き、ところどころに貨物側 線跡のある駅も見受けられます。電車は3両ユニットの角ばったスタイルで、日本の私鉄電車とも相通じるところのある雰囲気です。終点のセンテンドレは車庫 併設(さらに都市交通博物館も併設。旧型のHÉV・路面電車・トロリーバス等が計数十両保存されています)2面3線の頭端式ターミナルで、これまた ちょっと大きめの中小私鉄ターミナルといった趣です。
収録時、センテンドレ線の列車はすべて東ドイツ製のMXA型(1975 - 1983年製)3または6両編成で運行されていました。四角い車体の3ドア3連という構成は、日本の電車を見慣れた目にも親しみやすいのではないかと思います。両先頭が電 動車の吊り掛け駆動で、地下鉄とは対照的にのんびりとした走りです。
収録は運転席直後の座席で行いました。モーター音はもちろんですが、運転席背後にはどうやら制御器もあるようで、カム軸の動作音らしき音も入ってきていま す。ロングレール化されていない区間も多く、60~70km/hくらいの速度で、軽快なジョイント音を刻みながら進んでいく場面も多く耳にすることができ ます。小旅行の気分をお楽しみください。