欧州文化の中心だった黄金の20年代、ナチスによる首都改造と挫折、破滅、分断と冷戦、そして統一と再生――ドイツの首都ベルリンは、現代史における数々の事件の舞台となってきました。
ベルリンの人口は約350万と多く、大規模な鉄軌道のネットワークを持ちますが、あちこちに歴史の痕跡を見出すことができます。
例えば市電は旧東ベルリンにほとんどの路線が存在し、対して旧西ベルリンはUバーン(地下鉄)の密度が高いことは、東西の交通政策に差があったこ とを如実に示しています。市内には今でも、東西分断の影響を直接あるいは間接に受けて廃線となったSバーンの線路が残ります。一方で、東から西へ「越境」する市電など、統一後ならではの新線も生まれています。Sバーン(近郊電車)やUバーンでは、戦前からのスタイルを今もそのまま残すクラシックな駅が多数ある一方で、2006年開業のベルリン中央駅などはガラス張りの超モダンな建築となっており、戦前からの歴史の移り変わりを身をもって体験 することができます。
一方郊外に目を向ければ、美しいサンスーシ宮殿と、人口15万ながら7系統もある市電を擁する、小都市ポツダムが南西にあります。また南東には、豊かな森と気持ちの良い湖畔と、心象鉄道を具現化したかのような小鉄道のある、ヴォルタースドルフといった街があり、こちらも路面電車好きには見逃せません。
Berlin is modern capital with 3500000 citizens. Berlin has many historical site of contemporary history.
Public transport in this city was partly ruined by World War II and separation after the war. But most separated lines were integrated, closed stations were re-opend, old fleet was rdeplaced. Today, Berlin has one of largest public transport network in European cities.
On the other hand, there are some indivisual tram lines in suburb - Potsdam, Woltersdorf, Schöneiche, Strausberg. Rail enthusiast can enjoy these small tramways.
ベルリンの壁沿いに走るGT6N
(Gedenkstatte Berliner Mauer)
GT6N runs along Berlin wall. Taken
at Gedenkstatte Berliner Mauer.
【走行音】GT6N-ZR M10系統 S-Bahnhof Nordbahnhof(北駅)→U-Bahnhof Warschauer Straße(地下鉄ワルシャワ通り駅)
GT6N-ZR, Line M10 S-Bahnhof Nordbahnhof -> U-Bahnhof Warschauer Straße
There is the Germany's largest tram network in Berlin. Line M10 is semicircular trunk tramline through former East-West border. Line M10 originate at Nordbahnhof near Berlin Wall Memorial center, runs along the wall, and terminate at Warschauer Straße station. Line M10 is operated by bidirectional low-floor tram, Adtranz GT6N-ZR.
Jul. 2011
路面電車王国ドイツの中でも、ベルリンには総延長約200kmに及ぶ、大規模な市電の路線網があります。 西ベルリンでは1967年に全廃されましたが、統一後はいくつかの路線が再び旧西ベルリンへ入るようになりました。ここで取り上げるM10系統もその一つです。起点のNordbanhof(北駅)からしばらくは、ベルリンの壁跡のすぐ隣の道を走ります。
この道は、分断時に東から西への脱出事件の舞台となった通り(ベルナウアー通り)で、現在は壁の一部が残されて記念館と公園が作られています。最初の電停名もベルリンの壁記念館(Gedenkstatte Berliner Mauer)となっています。
3電停目で電車は壁跡を越えて旧東側に入り、環状道路の真ん中を進んでいきます。一部の電停は島式ホームとなっており、車内放送でも「出口は右側です(Ausstieg Links)」と注意を促しています。途中Frankfurter tor(フランクフルター門)で交差するFrankfurter allee(フランクフルター大通り)は、共産主義時代にシンボルロードとして整備された通りで、東ドイツ時代の面影を残す権威主義的な建物を、車窓からも目にすることができます。
終点のWarschauer Strase (ワルシャワ通り)は、Uバーン(地下鉄)とSバーン(近郊電車)との乗り換え駅で、SバーンとUバーンの駅がやや離れているため、電停もそれぞれの近くに二ヶ所造られています。
収録時、この路線はGT6N-ZR型(ZRは両運転台型を表す)で運行されていました。外観でお分かりの通り熊本市電にも同型がいる型式です。
始発から3電停は英語ガイドツアーの観光客が多数乗っておりいささか騒がしいですが、国際語である英語のツアー客が、東西貫通の市電に乗り、壁を観光の対象として見ているという事実は、分断と閉鎖の時代が過去のものになったということを物語っていると思います。
なお、収録時はGT6Nと並ぶもう一つの主力車であったタトラカーKT4Dについては、
ブログで短時間ですが走行音をご紹介しています。
481系電車
(Alexanderplatz)
A type481 train at Alexanderplatz.
【走行音】481系 S3系統 Ostbahnhof(東駅)→Erkner(エルクナー)
Type481, Line S3 Ostbahnhof -> Erkner
S-Bahn Berlin has 330km network and long histry from 1920s. Type481 is most majour series in S-Bahn Berlin. Many type481 was introduced from 1996 for modernization of S-Bahn system. As of 2011, Line S3 was east-west line throught the downtown. But about half of trains were shuttle service train from Ostbahnhof(East railway station) to eastan suburb. I recorded the shuttle service train.
Jul. 2011
ベルリンの交通機関の中でもSバーンは、もっとも時代に翻弄されてきた存在かもしれません。戦前はベルリンの成長にあわせて発展してきたものが一転、戦中・戦後は破壊と分断、さらに旧西側ではボイコットに廃線と、苦難の歴史を歩んできました。
しかし統一後は多くの廃線が復活し、新型車が大量に投入されました。 ここで取り上げる481系は、戦後新車導入が滞っていた車両陣の置き換えのため、統一後に投入されたインバータ制御車で、大量投入によりSバーンの主力にのし上がりました。
収録したS3系統は、ベルリンの都心から東へ向かう系統で、下で取り上げるヴォルタースドルフ電気軌道へのアクセスにもなる路線です。都心側の起点はしばしば変更されるのですが、収録時は都心を貫通して西のSpandau(シュパンダウ)起点の列車と、都心東寄りのOstbahnhof(東駅)起点の列車が交互に運行されていました。収録したのはOstbahnhof起点の列車です。
走行音は発車時の甲高い変調音が特徴的です。独特のドアチャイムとあわせ、ベルリンならではの音をお聴きください。
485系電車
(Alexanderplatz)
A type485 train at Alexanderplatz.
【走行音】485系 S9系統 Treptower Park(トレプトウアーパーク)→Flughafen Schönefeld (シェーネフェルド空港)
Type 485, Line S9 Treptower Park -> Flughafen Schönefeld
Type485 is nose-suspention drived, and chopper controlled train. This was desighned by Deustche Reichsbahn(DR, "German Reich Railways" in East Germany). As of 2010, primary route of S9 was from Pankow to Schönefeld Airport. However, the line was not operated in between Pankow and Treptower Park by 2009 "Berlin S-Bahn Chaos".
Sep. 2009
この485系は、東ドイツ時代の末期に投入が始まった系列です。登場後ほどなく東ドイツは消滅し、旧型車の本格的な置き換えは481系で行うことになったため、この系列は多数派とはなれませんでした。しかし、東ドイツ時代の面影が感じられることから、現地でも鉄道ファンからある種の人気を得ているようです。
音の面で独特なのは、なんといっても吊り掛けチョッパ車であることで、電機子チョッパ制御の「プー」という音と、吊り掛けモーターの音が同時に耳に入るのは、日本にはないことです。
収録は、空港アクセスの役割も担うS9系統で行いました。
収録時、ベルリンのSバーンでは手抜き検査が発覚したため、多くの車両が検査完了まで使用停止となっていました。運行系統の短縮・間引き運転が大量発生して大顰蹙を買っており、「Berlin S-Bahn Chaos」などといった見出しでマスコミに大きく取り上げられる始末でした。
このS9系統も、本来はベルリン北部のPankow(パンコウ)始発のはずでしたが、収録時は南半分のTreptower Park(トレプトウアーパーク)以南の運行でした。
なお、途中でイヤホンなしで音楽を聞く輩(日本ほど車内マナーに神経質でない当地でも、流石に白い目で見られていました)が2駅ほど乗ってきてしまいました。日本の電車なら録り直しですが、流石にベルリンまでそうそう頻繁に行くわけにもいかないので、ご了承下さい。
Hohen Neuendorfで発車
待ち中の480系電車。
Type 480 train at Hohen Neuendorf.
【走行音】480系 S8系統 Blankenburg(ブランケンブルク)→Hohen Neuendorf(ホーエンノイエンドルフ)
Type 480, Line S8 Brankenburg -> Hohen Neuendorf
Type480 was made in 1986 - 1994 for replacement of pre-war trains. Line S8 is 50km long route originally. But due to 2009 "Berlin S-Bahn chaos", line S8 was shortened to only about 15km route as of 2009.
Sep. 2009
480系は、旧西ベルリン側が開発した車両です。
戦後長きに渡ってSバーンは東ドイツ国鉄が東西ともに管理していましたが、西ベルリンでは市民のボイコットにを受け設備の更新もままならなくなり、1984年から西ベルリンの交通局が運営することになりました。
西ベルリン側の路線に、壁崩壊の直前から投入されていったのがこの系列です。
この系列もまた走行音は独特で、VVVFインバータ制御ながら吊り掛け駆動風(実際には若干異なる方式のようです)の音となっており、日本では類例のないものです。
収録したのはS8系統で、本来は南東の郊外から市街外縁の環状線を通って北部の郊外まで結ぶ系統です。しかしこちらも「Berlin S-Bahn Chaos」の影響により、他系統との重複部は運休となっていました。独自区間はSバーンの中でも最も閑散とした区間で、2連の480系が往復しており、乗客もわずか10人足らずと、首都の近郊電車とは思えないものでした。
Olympiastadionに
到着するG型電車
A type G train at
Olympiastadion.
【走行音】G型 U2号線 Senefelderplatz(ゼネフェルダープラッツ)→Theodor-Heuss-Platz(テオドール・ホイス・プラッツ)
Type G, Line U2 Senefelderplatz -> Theodor-Heuss-Platz
Type G is U-Bahn(subway) train made in communist era with so unique cubic desighn. Type G is mainly used in line U2. Line U2 is line from western suburb to northern suburb. But as of 2010, section from northern terminal(Pankow) to Senefelderplatz was not operated by track reconstraction work.
Aug. 2010
東西分断時代、東ドイツ側が一元管理していたSバーンに対し、Uバーン(地下鉄)は東西それぞれが管理し、車両もそれぞれで投入していきました。
とはいえ東側における戦後の新型車投入は遅れ、1974年からようやく投入が始まったのがこのG型です。
ほぼ真四角の車体に、極限まで単純化された前面デザインが大変に特徴的で、他の共産主義諸国の電車でも、ここまで個性的な外観のものはなかなかお目にかかれません。
またモーター音も、キュイーンという甲高い音が目立つもので、外観ほどの個性ではないものの、これまた独特です。
収録したU2号線は、ベルリンの市街を貫く全長約20kmの路線ですが、収録時は改築工事のため北部末端のPankow(パンコウ)~Senefelderplatz(ゼネフェルダープラッツ)間は運休していました。また西部の末端は、終点まで向かう列車と途中のTheodor-Heuss-Platz(テオドール・ホイス・プラッツ)で折り返す列車が交互に運行されており、収録は区間運転の列車で行っています。
森の中を走るゴータカー
(Rahnsdorf bahnhof~
Goethestraße)
Gothawagen runs in forest.
Taken between Rahnsdorf
bahnhof - Goethestraße.
終点Woltersdorf, Schleuse
で発車待ちをする電車。
A tram at Woltersdorf,
Schleuse terminal.
【走行音】ゴータカーT57型 ヴォルタースドルフ電気軌道 Rahnsdorf bahnhof(ラーンスドルフ駅)→Woltersdorf, Schleuse(ヴォルタースドルフ・シュロイセ)
Woltersdorfer Straßenbahn, Gothawagen Type T57, Rahndorf bahnhof -> Woltersdorf, Schleuse
Woltersdorfer straßenbahn is small tramway with small cars. Line length is only 5.6km. All cars in this railway is old 4-axle tram. Regular service is operated by Gothawagen(Gotha car) made in 1950-1960s.
Jul. 2011
Woltersdorfer Straßenbahn(ヴォルタースドルフ電気軌道)は、総延長わずか5.6km。近郊電車の駅前にちょこんと設けられた乗り場から、単行電車が森の中と小さな村を抜け、小さな湖までを結ぶという、現代まで残っているのが奇跡のような小鉄道です。
ここで走っているのは、Gothawagen(ゴータカー)と呼ばれる二軸電車で、戦後東ドイツの各都市で使われましたが、東西ドイツ統一後急速に淘汰が進み、通常の営業運転に供されているのは非常に珍しい存在となってしまいました。
起点のラーンスドルフ駅は、上で録音を載せているS3系統の途中駅で、駅前にあるホーム1面だけの乗り場から発車します。すぐに森の中へ入り、見た目に似合わず路面電車としては結構な速度で飛ばします。最初の電停Goethestraße(ゲーテ通り)からは道端併用軌道となり、以後は小鉄道らしいのんびりとした走りになります。その後、ヴォルタースドルフのささやかな中心部を抜け、モーター音とともにアップダウンを繰り返して、湖畔の終点に至ります。
ここで使われている車両は、もちろん吊り掛け駆動であり、また電制と手ブレーキのみという戦前そのままの制動方式で、停止時もモーター音が響き、最後は手ブレーキの「ガガガ」という音とともに停車します。
音鉄としては唯一、車内放送がないので音を聞く限りどこを走っているのかわからないのが残念ではありますが、それを差し引いても車両もロケーションも大変素晴らしい鉄道です。
ポツダム市電のタトラKT4D
(Platz der Einheit/West)
A Tatra KT4D at
Platz der Einheit/West.
【走行音】タトラKT4D 93系統 Platz der Einheit/Nord(プラッツ・デア・アインハイト・ノルド)→Bahnhof Rehbrücke(レーブリュッケ駅)
Tatra KT4D, Line93 Platz der Einheit/Nord -> Bahnhof Rehbrücke
In Potsdam, there is about 30km tram network with 7 lines. Line 93 is from Glienicker Brücke to Bahnhof Rehbrücke via Platz der Einheit. But as of July 2011, line 93 was not served between Glienicker Brücke and Platz der Einheit by constraction work. Tatra KT4D is majour series of tram in East Germany. After 1989 German reunification, most KT4Ds were refurbished. Potsdam's KT4Ds were refurbished too. However, replacement of KT4D was started from 2012 by Stadtler Variobahn.
Jul. 2011
ベルリンの南東にある小都市ポツダムは、美しいサンスーシ宮殿が観光客を集め、また日本人にとってはポツダム会談の行われた場所として有名です。
人口は15万人とさほど多くなく、日本的感覚では市電の経営が成り立つ都市規模ではありませんが、この街には総延長約30kmという、人口の割に充実した市電のネットワークが存在します。
93系統は、本来は北東部の郊外Glienicker Brücke(グライニッカーブリュッケ)から市内中心部と中央駅を経て南東部の郊外Bahnhof Rehbrücke(レーブリュッケ駅)へ向かう系統ですが、収録時は工事のため市内中心部で折り返し運転となっていました。
収録時は、コンビーノとともに共産主義時代からのタトラKT4D型も多数残存していました(その後淘汰のため、2012年よりシュタッドラー製の超低床車「ヴァリオバーン」が投入されています)。タトラKT4D型は、東ドイツの各都市で見られた標準的な車両で、統一後は多くの都市でリニューアルが進みました。ポツダム市電のKT4Dもやはり更新を受け、走行音もオリジナルとは異なっているようです。