伝統的な路面電車を残す中国の都市は、わずか二つとなってしまいました。そのうちの一つが、中国東北部の長春です。
　かつては複数の路線がありましたが、現在は54路(54系統)だけが残っています。最後の1路線、と言うとそのうち廃止になりそうな印象を受ける言葉ですが、実際は大変多くの乗客でにぎわっており、ラッシュ時には日本の満員電車さながらに乗客をぎっしり詰め込んで走っているほどです。
　この路線は、ショッピングセンターが立ち並ぶ繁華街の一つ、工農大路を起点とし、そこから西の郊外へ向かっていきます。全線とも道路わきの専用軌道となっており併用軌道は無いので、純粋な路面電車とは言いづらいのですが、車両は路面電車そのもののタイプを使っており、また踏切警報機や閉塞信号機がない点も路面電車的なオペレーションです。
　2000年前後までは第二次大戦前の車両も残り古びた風情だったようですが、その後は旧型車は一掃され、2012年末にはさらに新型車が導入されています。さらに2014年には高速鉄道の長春西駅まで路線延長されることになっており、前途は明るそうです。

Changchun is one of only two Chinese cities which has traditional tramway.
Line 54 has no on-street running section. But the fleet is tramway-style cars.
Changchun tram has only one line(Line 54). Another five lines were abonedoned. However many passengers takes tram. Trams are so crowded in morning and evening peak hours.
Since 2000s, Changchun city invests to tram. Cmpletely track refurbish work was done in 2000. Most old fleet(made before WWII) was replaced. Tramway will be extended in 2014 to Changchun West staion of High speed railway.

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【走行音】DL8000型　54路　西安大路→工农大路(工農大路)

Type DL8000, line54 Xi'an Dalu -> Gongnong Dalu
DL8000 is second hand tram(ex-Dalian) made in 1999. Propulsion system of DL8000 is old system with nose-suspention drive. Body is modern, but sound is traditional. Name of next stop is announced by conductor. It's very strange in Chinese urban transport.

Dec. 2012
　54路の主力車両、DL8000型を収録しました。大連市電からの譲渡車で、1999年製(大連では超低床車の投入に伴い、製造後数年で使用を中止したとのことです)の近代的な外観の車両ですが、下周りは旧型車からの流用のようで、昔ながらの吊り掛けモーターの音を唸らせて走っています。
　市電には車掌が乗務しており、前中後すべてのドアを活用して乗降扱いを行う、日本では見られなくなった方式を収録時(2012年)も目にすることができました。また車内放送も車掌の肉声により行われており、中国の地下鉄や市内バスではほとんどが自動放送(もしくは車内放送なし)となっている中で、極めて珍しいものになっています。
　収録は夕方のラッシュ時で、ラッシュとは逆方向の便ではあるものの、立ち客も多くそれなりに賑やかな車内でした。また警笛も頻繁に鳴らしており(道路との平面交差に警報機等がないためと、線路内を歩く人が見られるため)、これもまた賑やかです。
　車内放送は、無口で最低限のことだけボソっとしゃべる人、早口でガンガンおしゃべりする人、マニュアル通りに丁寧な人など、車掌さんによって個性豊かで楽しいものでしたが、収録した車両では「早口でガンガンおしゃべりする人」に当たりました。お客さんの乗降も多く、忙しい雰囲気がよく出た録音になったと思っています。