【写真】プラハ都市交通博物館の車両たち Part2 / [Picture] Trams in Prague public transport museum – Part 2

前回に引き続き、プラハ都市交通博物館の車両を取り上げます。今回は戦後の車両をご紹介しましょう。

これまでとは一気に雰囲気が変わり、角張った形態になった3063。現代的なスタイリングに一歩近づいた感もありますが、登場年が第二次大戦中の1942年ということで、どちらかといえば製造時の工作簡易化を狙ったものではないかと推測します。四輪単車ながらかなり大柄で三扉でもあり、輸送力重視の設計に見えます。続くトレーラーの1580は戦後の1946年登場。
20090926_174053プラハ市バス(チェコ・プラハ_公共交通博物館)_small

1951年、一挙に近代的になった設計で登場したタトラカーの始祖、タトラT1です。従来に比べ格段に大型化した車体、流線型のスタイルなど、劇的な進歩を遂げたことがわかります。しかし前面の大きな赤い星はさすが共産主義国の電車ですね。1960年代初頭まで運行に就いていました。
20090926_181702プラハ市バス(チェコ・プラハ_公共交通博物館)_small
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【写真】プラハ都市交通博物館の車両たち Part1 / [Picture] Trams in Prague public transport museum – Part 1

少し古い話になりますが、2009年、プラハ市電を訪問しました(「トラムのひびき」サイトのプラハ市電のページにある音は、その時収録してきたものです)。
その際、プラハ城の近くにある都市交通博物館を訪問しましたので、その時撮影した写真をお目にかけようと思います。
名称は都市交通博物館ですが、展示の中心は路面電車で、古い車庫を転用した建物内に所狭しと電車が並んでいます。

まずは一番古いこの車両から。1886年から使われた鉄道馬車時代の車両です。車両は本物の模様ですが、馬はもちろん実物大模型です。ちなみに博物館のパンフレットによると、プラハ市電で初めて電気運転が始まったのは1896年で、馬力運行が廃止されたのは1905年とのこと。
20090926_171736プラハ市バス(チェコ・プラハ_公共交通博物館)_small

次に古いのがこの88号。1900年に登場した車両で、ダークグリーンの外観が異色ですが、これは現行の赤白の塗り分けが始まったのが1908年で、それより前に登場したからということです。それにしても、1908年以来塗装が変わっていないというのも凄いですね。
20090926_173717プラハ市バス(チェコ・プラハ_公共交通博物館)_small
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【更新案内】札幌市電240型の走行音を追加しました / [Update Imformation] Sound of type240 of Sapporo tram was added.

藻岩山を背景に走る240型[幌南小学校前] / Type 240 at Konan-shogakko-mae. Background is Mount Moiwa.

藻岩山を背景に走る240型[幌南小学校前] / Type 240 at Konan-shogakko-mae. Background is Mount Moiwa.

「トラムのひびき」サイトの札幌市電のページに、240型の走行音を追加しました。
2011年の夏に録音しておいたもので、吊り掛けモーターからのサウンドと、ガラガラという古風なドア開閉音がお楽しみいただけます。
札幌市電は最近自動放送の声の主が変わりましたが、この録音はしばらく前のものですので、当時の落ち着いた声の放送を耳にすることができます。
是非お聞き下さい。

I updated “Tram-no-hibiki”. I added the sound of type 240 of sapporo tram.
Eight type 240s were made in 1960. Rounded body was mostly same as another types (Type 210, 220, 230, 250). This style of body is called as “Sapporo style” from tram enthusiast. 7 type 240s are still in service as of 2014. Exterior is traditional, but interior was fully refurbished. LED passenger information display is equipped(except No. 241 and 242).
On the other hand, propulsion system is mostly original. You can enjoy the sound with nose-suspention drived motors.

【写真】雪晴れの都電荒川線 / [Picture] Tokyo tram in fine day after heavy snow.

東京に約半世紀ぶりの積雪(26cm)となった2014年2月8日の翌日、雪晴れとなったので都電を撮影してきました。
お昼ごろの撮影ですが、東京で雪晴れとなっても大抵はすぐに融けてしまいますので、このように遅くまで残っているのは珍しい光景でした。
下記の地図に示すコースで撮影してきたものをお目にかけます。ご笑覧下さい。

In 8th Feb. 2014, it was heavy snow in Tokyo. The snow lay 26cm deep. It’s very strange in Tokyo.
But next day was sunny day. Clear sky with whited cityscape is strange too.
I went to Tokyo downtown to take a pictures of Toden (Toden means “Tokyo metropolitan tramway” in Japanese).
My journey was following route(see map bellow):
My home -> Kasuga station -(Toei bus)-> Waseda tram and bus stop -(Toden)-> Toden zoshigaya tram stop -(Walking and taking pictures)-> Kishibojin-mae tram stop -(Walking and taking pictures)-> Kishibojin-mae bus stop -(Toei bus)->Ushigome-Yanagicho station -> My home
I could take many pictures of Toden with snowy cityscape and blue sky. Please enjoy the pictures bellow.


大きな地図で見る

当日は都営交通一日券を購入してありましたので、春日駅から都営バスで早稲田に向かいます。
雪の積もった中を走る都バスというのも珍しいので、こちらも撮影しておきます。都バスはチェーンを装着していましたが、路肩にはまだまだ雪が多く残っており、バス停からの発進時にはスリップが多発して苦労していました。

上58系統で運行中のいすゞエルガ[春日駅前] / ISUZU "ERGA" of Toei bus [Kasuga station]

上58系統で運行中のいすゞエルガ[春日駅前] / ISUZU “ERGA” of Toei bus [Kasuga station]

 早稲田から都電に乗り、雑司が谷あたりのアップダウンを撮ろうと考えて都電雑司が谷電停で下車します。
まずは降りたところで、カーブを曲がってくる電車を撮影。この雰囲気は郊外電車的で、江ノ電や京阪石山坂本線あたりの電車がやってきてもおかしくなさそうです。実際創業期は郊外電車のようなものでしたし。

都電雑司ヶ谷に到着する8800型 / Type 8800 approaches at Toden Zoshigaya.

都電雑司ヶ谷に到着する8800型 / Type 8800 approaches at Toden Zoshigaya.

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【本の紹介】Tram Atlas Deutschland (ドイツ市電地図)

路面電車大国ドイツの全ての市電について、路線図を収録した本。
路線図はすべて正縮尺の上に描かれたもので、模式図とは違った臨場感が楽しめます。路線図上にはもちろん系統番号も付されていますから、運行系統もわかりますし、無数に存在する電停も完全に表記されています。さらに計画線や休止線も表わされています。
ドイツではベルリン、ケルン、ライプツィヒなど、総延長100kmを超えるようなとてつもなく規模の大きい路面電車網も散見されますが、全て省略無く地図に収められています。
また、ライン・ルール地方やハノーファー、フランクフルト・アム・マインなどには、路面電車なのか地下鉄なのか微妙な鉄道(シュタットバーン)もありますが、それらも漏れなく収録されており、中途半端なところはまったく無い仕上がりです。

各都市とも、路線図のほかに路線延長、運転間隔(これは各都市ともパターンダイヤ化が徹底しているからこそできる表記でしょう)、運用されている車両形式(これは本当に形式だけで、車両解説はありません。事業用車や保存車は省略)などのデータが記載されているほか、写真も少なからず掲載されています。「Atlas」と銘打ってはいるものの、それにとどまらない情報量で、この一冊で路線網はもちろん、それ以外のこともある程度把握できてしまいます。

圧巻はライン・ルール地方の路線図で、デュッセルドルフ、デュイスブルク、オーバーハウゼン、エッセンを経てボーフムまで、複数の都市の市電が融合した巨大路線網が全て描ききられています。一方で、ヴォルタースドルフ、ナウムブルクなど、総延長10kmに満たないごく小規模の路線のページを眺めるのも楽しく、小さな町を二軸電車がとことこ走る光景が目に浮かびます。

本書はドイツ人であるロバート・シュヴァンドル氏によるものですが、当然ながら路線図を楽しむのに語学力は不要ですし、凡例をはじめとしたテキストには全てドイツ語のほか英語も併記されていますので、ドイツ語が理解できなくとも読むのに問題はまったくありません。

※本書に邦題はありません。ドイツ市電地図とは、理解しやすいように便宜的に表記したものです。

【本の紹介】世界の路面電車ビジュアル図鑑

●世界中を網羅した驚くべきボリューム
まさに圧倒的なボリュームの本です。世界50カ国400以上の都市の路面電車を紹介するという、おそらくは前代未聞と思われる企画で、これを筆者一人で訪問したというのですから驚くほかありません。
日本で紹介される海外の路面電車というと、LRT先進地域というべき西欧や北アメリカか、日本人でも身近な中国などの電車が多いですが、本書はそれらの国々は当然のこと、旧ソ連やトルコ、中東欧など、馴染みの薄い国々の路面電車も扱われています。
ロシアのマイナー都市や、ウクライナ、ブルガリア、カザフスタンなど、和書はもちろんネット上でも情報の少ない国・都市の電車が多数登場しており(流石に北朝鮮は扱われていませんが……)、これだけ情報の入手が容易になった昨今でも、まだまだ知らない電車がこんなにあるのか!と新鮮な気持ちにさせられます。
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【音】デュワグカーの爆走 – ライン・ネッカー交通 デュワグGT8 / [Sound] Rhein-Necker-Verkehr, Duewag GT8

【音】ライン・ネッカー交通 デュワグGT8 5系統 Seckenheim Bahnhof OEG→Edingen Bahnhof
[Sound] Rhein-NEcker-Verkehr, Duewag GT8, Line5 Seckenheim Bahnhof OEG -> Edingen Bahnhof

ハイデルベルク市内を走るデュワグGT8(2009年5月、AdenauerPlatz) A Duewag GT8 at AdenauerPlatz.

ハイデルベルク市内を走るデュワグGT8(2009年5月、AdenauerPlatz)
A Duewag GT8 at AdenauerPlatz.

もっとも一般的な路面電車車両の一つとして西ドイツ全土で見られた、いわゆる「デュワグカー」の走行音です。録音を行ったのは、ドイツ中部のマンハイム~ハイデルベルク間を結ぶインターアーバン路線で、市街地は併用軌道、郊外は専用軌道となっており、専用軌道区間は筑豊電鉄のような雰囲気になっています(筑豊電鉄のような高架・掘割区間は無いですが)。

現在は路面電車型の車両(収録した2009年時点では、デュワグカーのほか、超低床車ヴァリオバーンも投入されていました)が走っていますが、以前は市内電車とは異なる、ステップ付のボギー高床電車が走っていました。
現在のデュワグカーについても、乗車距離が長いせいか市内線用よりもドアが少なく座席の多い仕様(上掲の写真)が投入されており、車種は市内電車と同じなれど、仕様はインターアーバンらしさが感じられるものでした。

お聞きいただくのは、専用軌道区間の走りで、比較的駅間距離も長いところです。
併用軌道区間では路上を静かに走っていたデュワグカーですが、専用軌道に入ると豹変し、モーターをぶんぶん回してけたたましい音とともに爆走しており、本気モードの走りがお楽しみいただけます。

ちなみにドルトムントから広島電鉄に譲渡されたのもこのGT8型デュワグカー(広島電鉄70型)ですが、大半のGT8が直角カルダン駆動なのに対し、あちらは吊り掛け駆動となっており、この車両とは走行音はおそらく異なっていたものと思います。

I recorded the sound of DUEWAG GT8 on RNV line 5.
As you know, DUEWAG GT8 is typical high-floor tramcar in former West Germany.
RNV line 5 is interurban tram with Mannheim – Heidelberg – Weinheim – Mannheim circular route.
I recorded in Seckenheim Bahnhof OEG -> Edingen Bahnhof. This is suburb between Mannheim and Heidelberg. The track is separated from road traffic. Trams can run high speed with shrill sound from motor in this section.

【本の紹介】大分交通別大線(RMライブラリー)

かつて大分と別府を結んでいたインターアーバン、別大電車の本です。
沿線には温泉街あり、県都の繁華な市街地あり、車窓に別府湾が広がる海岸沿いの単線区間ありと、変化に富んだ車窓がある路線で、今でも残っていたらさぞかし楽しい路線だっただろうと思います。あいにく現役時代は知らない私ですが、本書には車両主体のものだけでなく沿線風景も取り入れた写真が多数掲載されており、沿線風景の多彩さは十分に伝わってきます。
また車両陣も個性的で、路面電車としては大柄な全長13m級の電車が日常的に連結運転を行っていたり、定員200人の永久連結車が走っていたり、また路面電車としてはきわめて珍しいM-M’ユニット車や、アルストム型台車を履いた車両があったりと、こちらもやはり、「今残っていたら……」という思いを抱かせるものです。車両は創業時からの全車種が網羅されており、形式写真も不鮮明なものはほとんどなく、全車種掲載されています。

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【音】ベルリン市電 タトラKT4D その2 / [Sound] Berlin tram, Tatra KT4D – Part 2

【音】タトラKT4D M5系統 Landsberger Allee/Petersburger Straße(ランズベルガー大通り・ペータースブルガー通り) → Judith-Auer-Straße(ユディスアウアー通り)
[Sound] Tatra KT4D , LineM5 Landsberger Allee/Petersburger Straße -> Judith-Auer-Straße

ベルリンの繁華街のひとつ、アレキサンダープラッツ駅前に停車中のKT4D A KT4D at Alexanderplatz.

ベルリンの繁華街のひとつ、アレキサンダープラッツ駅前に停車中のKT4D
A KT4D at Alexanderplatz.

前回、タトラKT4Dの足回り更新車の走行音をご紹介しましたが、こちらは未更新車の走行音になります。いずれもサイリスタチョッパ制御なのですが、走行音はまったく異なるものになっています。
前回ご紹介した走行音も、日本の電車にはない独特なものでしたが、こちらはさらに変わった、珍妙そのものといえる音になっています。
収録は2009年ですが、このときでもすでに大多数が足回りの更新を受けており、未更新車は非常に少数となっていました。
ちなみに、オリジナルの走行音がする車両でも、車内は更新を受けており、座席の交換や車内案内表示装置の設置などにより、原型のそっけない雰囲気は払拭され、現代的な水準になっていました。もちろん自動放送も設置されており、この録音でもお聞きいただけます。
収録は、ベルリンの中心部から旧東ベルリンの郊外へ向かう幹線、M5系統で行いました。M5系統のうち、5分ほどの区間をアップしています。M5系統はベルリン市電有数の幹線ながら、以前はKT4Dも頻繁に運行されていましたが、フレキシティ・ベルリンの投入は優先的に行われたようで、量産車投入が始まると、あっという間に見かける頻度が減ってしまいました。

2014年10月4日追記:『Tramways & Urban Transit』2014年9月号によると、足回り未更新車は7月4日をもって運用から退いたとのことです。最後の活躍の場は、住み慣れた大幹線M4系統でした。

This is sound of Tatra KT4D with original electric equipment. I recorded in 2009. As of 2009, most propulsion system of KT4D was modernised. KT4D with original sound was very few. This sound was recorded from Landsberger Allee/Petersburger Straße to Judith-Auer-Straße on route M5.

【音】ベルリン市電 タトラKT4D その1 / [Sound] Berlin tram, Tatra KT4D – Part 1

【音】タトラKT4D 61系統 Bellvuestraße(ベルビュー通り) →Bahnhofstraße/Lindenstraße(バーンホフ通り・リンデン通り)
[Sound] Tatra KT4D , Line 61 Bellvuestraße -> Bahnhofstraße/Lindenstraße

自然豊かな景観の中を走ることで有名な、69系統で運行中のKT4D。 A KT4D runs as route 69.

69系統で運行中のKT4D。同系統は自然豊かな景観の中を走ることで有名。
A KT4D runs as route 69.

ベルリン市電の一時代を代表した車両、タトラKT4Dの走行音です。
タトラKT4Dは、共産主義諸国に広く供給されたタトラカーの一族で、形式の末尾Dは東ドイツ向けを表します。最初に導入されたのはポツダム(1974年)で、ベルリンでは1976年から走り始め、500編成以上が導入されました。
他の共産主義諸国の都市では、1960年代からタトラT3(いわゆる「丸タトラ」)の導入が始まっていたのに対し、ベルリンでは四輪単車が主流で、おそらくタトラKT4Dの登場は革命的なものだったのではないでしょうか。
1990年の東西ドイツ統一以降、各都市ではタトラカーのリニューアルが進みましたが、ベルリンもその例に漏れず内装、足回りの改造を受けた車両が多くなっています。
ここでお聞きいただけるのは足回り改造後の車両で、チョッパ制御の「プー」という動作音と、「ムォーン」という独特のモーター音を発します。「トラムのひびき」サイト内ではポツダムのKT4Dの走行音を公開していますが、改造のメニューは都市によって異なることから、それとはまた異なった音になっています。収録はベルリン東部の郊外を走る61系統で行い、そのうち5分ほどの区間の録音です。
一時は一大勢力を誇ったKT4Dですが、いかに近代化改造を受けているとはいえ、高床であるというデメリットは如何ともしがたく、近年は置き換えが加速しています。2011年から、新型車「フレキシティ・ベルリン」の量産車投入(試作車投入は2008年)が始まっており、2017年までにKT4Dは営業運転から引退する予定になっています。

足回り更新前の車両の走行音はこちらでご紹介しています。

I recorded the sound of Tatra KT4D in Berlin. The car was modernised propulsion system. The sound from under the floor was different from original.
This sound was recorded from Bellvuestraße to Bahnhofstraße/Lindenstraße on route 61.