【音】ベルリン市電 タトラKT4D その2 / [Sound] Berlin tram, Tatra KT4D – Part 2

【音】タトラKT4D M5系統 Landsberger Allee/Petersburger Straße(ランズベルガー大通り・ペータースブルガー通り) → Judith-Auer-Straße(ユディスアウアー通り)
[Sound] Tatra KT4D , LineM5 Landsberger Allee/Petersburger Straße -> Judith-Auer-Straße

ベルリンの繁華街のひとつ、アレキサンダープラッツ駅前に停車中のKT4D A KT4D at Alexanderplatz.

ベルリンの繁華街のひとつ、アレキサンダープラッツ駅前に停車中のKT4D
A KT4D at Alexanderplatz.

前回、タトラKT4Dの足回り更新車の走行音をご紹介しましたが、こちらは未更新車の走行音になります。いずれもサイリスタチョッパ制御なのですが、走行音はまったく異なるものになっています。
前回ご紹介した走行音も、日本の電車にはない独特なものでしたが、こちらはさらに変わった、珍妙そのものといえる音になっています。
収録は2009年ですが、このときでもすでに大多数が足回りの更新を受けており、未更新車は非常に少数となっていました。
ちなみに、オリジナルの走行音がする車両でも、車内は更新を受けており、座席の交換や車内案内表示装置の設置などにより、原型のそっけない雰囲気は払拭され、現代的な水準になっていました。もちろん自動放送も設置されており、この録音でもお聞きいただけます。
収録は、ベルリンの中心部から旧東ベルリンの郊外へ向かう幹線、M5系統で行いました。M5系統のうち、5分ほどの区間をアップしています。M5系統はベルリン市電有数の幹線ながら、以前はKT4Dも頻繁に運行されていましたが、フレキシティ・ベルリンの投入は優先的に行われたようで、量産車投入が始まると、あっという間に見かける頻度が減ってしまいました。

2014年10月4日追記:『Tramways & Urban Transit』2014年9月号によると、足回り未更新車は7月4日をもって運用から退いたとのことです。最後の活躍の場は、住み慣れた大幹線M4系統でした。

This is sound of Tatra KT4D with original electric equipment. I recorded in 2009. As of 2009, most propulsion system of KT4D was modernised. KT4D with original sound was very few. This sound was recorded from Landsberger Allee/Petersburger Straße to Judith-Auer-Straße on route M5.

【音】ベルリン市電 タトラKT4D その1 / [Sound] Berlin tram, Tatra KT4D – Part 1

【音】タトラKT4D 61系統 Bellvuestraße(ベルビュー通り) →Bahnhofstraße/Lindenstraße(バーンホフ通り・リンデン通り)
[Sound] Tatra KT4D , Line 61 Bellvuestraße -> Bahnhofstraße/Lindenstraße

自然豊かな景観の中を走ることで有名な、69系統で運行中のKT4D。 A KT4D runs as route 69.

69系統で運行中のKT4D。同系統は自然豊かな景観の中を走ることで有名。
A KT4D runs as route 69.

ベルリン市電の一時代を代表した車両、タトラKT4Dの走行音です。
タトラKT4Dは、共産主義諸国に広く供給されたタトラカーの一族で、形式の末尾Dは東ドイツ向けを表します。最初に導入されたのはポツダム(1974年)で、ベルリンでは1976年から走り始め、500編成以上が導入されました。
他の共産主義諸国の都市では、1960年代からタトラT3(いわゆる「丸タトラ」)の導入が始まっていたのに対し、ベルリンでは四輪単車が主流で、おそらくタトラKT4Dの登場は革命的なものだったのではないでしょうか。
1990年の東西ドイツ統一以降、各都市ではタトラカーのリニューアルが進みましたが、ベルリンもその例に漏れず内装、足回りの改造を受けた車両が多くなっています。
ここでお聞きいただけるのは足回り改造後の車両で、チョッパ制御の「プー」という動作音と、「ムォーン」という独特のモーター音を発します。「トラムのひびき」サイト内ではポツダムのKT4Dの走行音を公開していますが、改造のメニューは都市によって異なることから、それとはまた異なった音になっています。収録はベルリン東部の郊外を走る61系統で行い、そのうち5分ほどの区間の録音です。
一時は一大勢力を誇ったKT4Dですが、いかに近代化改造を受けているとはいえ、高床であるというデメリットは如何ともしがたく、近年は置き換えが加速しています。2011年から、新型車「フレキシティ・ベルリン」の量産車投入(試作車投入は2008年)が始まっており、2017年までにKT4Dは営業運転から引退する予定になっています。

足回り更新前の車両の走行音はこちらでご紹介しています。

I recorded the sound of Tatra KT4D in Berlin. The car was modernised propulsion system. The sound from under the floor was different from original.
This sound was recorded from Bellvuestraße to Bahnhofstraße/Lindenstraße on route 61.

【本の紹介】U-Bahn, S-Bahn & Tram in Berlin(ベルリンの地下鉄・近郊電車・市電)

 「Urban Rail in Germany’s capital city」との副題がある通り、ドイツの首都ベルリンにおける、地下鉄(Uバーン)・近郊電車(Sバーン)・市電(トラム)の路線・運行形態・歴史・車両を解説した本です。
 ベルリンと言えば、冷戦時代にはベルリンの壁により隔てられていた、世界にも例を見ない分断都市として有名です。そのため、旧西ベルリンと旧東ベルリンでは、市電の路線の密度が全く違ったりしています。またSバーンには、同時期に西と東で開発された別々の車種が、今は同じ線路の上を走っているといったこともあります。
 一方戦前のベルリンは、欧州有数の産業・文化都市としての繁栄を謳歌したことから、UバーンやSバーンは相当規模の路線網を擁していました。現在でも当時の意匠を残した駅施設を多く目にすることができます。
 このようにベルリンの鉄道にはいろいろ見所があり、書籍も多数発売されてきているのですが、いかんせんほとんどがドイツ語で、日本語話者には敷居の高いものでした。この本はドイツ語・英語の併記になっており、英語テキストの方では難解な言い回しもあまり使われていないので、比較的内容を理解しやすいです。

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